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●稼ぐため必要なのは「ナメ・ホメ・マメ」
今回からリニューアルです。出直しとも言います。
今後は本連載がインターネットでも読めるようになります。 ネットで初めて読む方は単行本になっている『風俗お作法』を読んでいただけるとよりわかりやすく、私としても嬉しい。 発行元のしょういんとしても嬉しい。
この連載の姿勢を改めて説明しておきます。 風俗の基本コンセプトは「ナメ・ホメ・マメ」の三原則からなります。「ナメ」は「舐め」つまり肉体的な側面、「ホメ」は「褒め」つまり精神的な側面、「マメ」は「真面目」つまり 勤務態度を示します。
どんな仕事でも、時間を守る、事前に連絡をするといった勤務態度が求められます。 それができない人たちが多いだけに、風俗業界においては、これをしっかり守るだけでも仕事はスムーズにいきます。 しかし、こんなことはわざわざ説明するまでもないことです。
「ナメ」はベッドテクだったり、業種によってはマットテクだったり。 肉体面でいかに客を満足させるかの技術です。風俗店の講習ではここに重きがあります。
もうひとつの「ホメ」は言葉や態度 など、肉体とはまた違う接客の術を指し、「ナメ」はこれが伴っていることでいよいよ生きるし、これが欠けた「ナメ」では客は満足しません。高い金を払って繰り返し通うのは、実は「ホメ」に支えられた満足感を得る ためなのです。
もちろん、逆もまた真であり、「ナメ」の欠けた「ホメ」では風俗店の意味がないわけですが、一般に「ナメ」 はマニュアルで教えられるのに対して、「ホメ」は言語化が難しく、相手や状況によって大きく変化するため、教えてもらえないことが多いものです。
教えられないどころか、店のスタッフはそのことを理解さえしていないことがあります。そういう店で働いている風俗嬢たちは「客はヌケればいいんでしょ」と誤解していることがあるため、本連載では、もっぱらこの「ホメ」について書いています。
文 = まつざわくれいち/1958年生まれ。『エロスの原風景』(ポット出版)、『風俗お作法』(小社)など著書多数。
イラスト = 友沢ミミヨ