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- 第5回
●合う/合わないを言語・数値にする
クレマンと名称をつけることでそのタイプを抜き出しやすくなるわけですが、今回、「ヤリマントリックス」によって、クレマンがヤリマン全体の中でどういう位置づけになって、どういう特性をもっているのか、また、私の好きなタイプと苦手なタイプはどこがどう違うのかをきれいに説明することができるようになりました。
要するに、同じヤリマンでも、セックスの意味、セックスに求めるものが違っていて、私はセックスそのものを純粋に楽しめるタイプが好きなのです。
我々は好きなもの、嫌いなものを「生理的に合う/合わない」といった表現でごまかしてしまいがちです。
しかし、これらの多くは言語化できるものであって、分類することで見極めができやすくなります。
同じように、客も分類することで、より理解ができるはずです。
その分類方法は、独自の基準でかまわず、たとえば客がどの程度のペースで来店するか、どの程度のプレイ時間を選択するのか、そのプレイ時間のうち会話をどの程度するのか、攻めと受けをどの程度配分するのかを数値化しておくだけでも、その人のタイプが見えやすくなるはずです。
仕事中にストップウォッチで計ることは無理にしても、ざっくりした時間を出すと、その人の「ホメ指数」「ナメ指数」を出すことができ、何を自分に求めているのかを数字で見ることができるでしょう。
こういったデータを作っていくことによって、たとえば「フリーで最初についた人」「写真指名でついた人」の傾向の違いが見えてきて、一般によく言われる「若い世代より年配の人の方が戻ってくる率が高い」「ソープが好きな人は受け身が好き」といった法則がどこまで正しいのかもわかります。
結局分類というのはデータの集積であり、これをなんとなく体感して、自分なりの分類をしていくわけですが、体感はしばしば誤解を含みます。
数値をとることによって、その誤解は解消されますし、たとえば「毛深い人はアナルが感じる」「手土産をもってくる人はキスが好き」「帽子をかぶっている人は本番を迫る」なんて意外な法則を探し出すことができるかもしれません。
面白い法則を発見したら、私にも教えてください。
文 = まつざわくれいち/1958年生まれ。『エロスの原風景』(ポット出版)、『風俗お作法』(小社)など著書多数。
イラスト = 友沢ミミヨ