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- 第7回
●「らしくない」という思い込み
実のところ、SM業界でも、前立腺をうまく刺激できる人は少ない。
なぜかと言えば、女王様らしからぬ行為だからです。
奴隷がウンコするところに指を入れるわけですから。
女王様というイメージからすると、SMはムチや縛りであって、アナル調教に力を入れる人は少ない。
しかし、夏樹さんにとってはこれこそがSMの極みです。
通常の射精であれば、ある程度、男自身がコントロールできます。
しかし、トコロテンはコントロールすることができず、自分の意思とは関係のないところで出てしまいます。
これを体験することで、M男は抵抗不能の降伏状態に追い込まれ、これ以降は女王様の言いなりです。
しかも、これができる人が少ないため、一度味を覚えたら、その女王様を慕うしかなくなる。
ゲイには上手な人がいますが、男にされてもたいていの人は嬉しくないでしょう。
一部女にされても男にされてもいいという人もいますけど。
頑なな考え方の人たちの中には、アナル調教は邪道と考える人もいそうですが、そういった思い込みにとらわれないのが夏樹さんのいいところです。
実際、夏樹さんは「誰もやっていないから」と狙ったわけではなく、男が快楽に悶え苦しむ様を見るのが好きで、自然とここに行きついただけのことです。
私が「前立腺責めが得意な女王様は少ないんだよ」と教えたら、「そうなんだ」と驚いてました。
この技はどのジャンルでも応用可能で、「男の尻がそうも感じるはずがない」という思い込みを一度疑った方がいい。
男の多くもこの思い込みにとらわれていて、それを外してやることができれば、さらなる快楽の世界が待っています。
かといって誰もが前立腺が感じるわけではないのですが、乳首が感じる男はお尻もイケるというのが夏樹さんの経験則。
女子に近い性感をもっているってことかもしれません。
乳首なめをした時に「アン」とかわいい声を出すお客さんがいたら、試してみるといいかも。
ただし、安全のため、爪を切り、ラテックスの手袋を装着しましょう。
文 = まつざわくれいち/1958年生まれ。『エロスの原風景』(ポット出版)、『風俗お作法』(小社)など著書多数。
イラスト = 友沢ミミヨ