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- 第9回
●自分では善意でも他人には迷惑
もはや私が言うまでもなく、未曾有の大災害によって、この国は大混乱に陥ってます。
私のうちも、本棚が壊れて本が床に飛び散って大混乱です。
しかし、岩手や宮城、福島の状況を見ると、うちのことなんてどうでもよくて、「何かしなくちゃ」と思ったりします。
何かするのはいいとして、自分では善意のつもりでも、他人には迷惑ってことがあるものです。
東京のスーパーやコンビニから商品が消えたことを知った実家から、「食べ物を送ろうか」と電話があったので、「そんなことをするんだったら、被災地に金を送れ」と説教しました。
スーパーやコンビニはそういう状態でも、開店している食い物屋はありますから、食い物には困ってません。
家族のことだけを考えて、そんな無駄なことをしている場合ではないです。
また、世の中には、「こんな時にそんな不謹慎なことをするのはけしからん」と言い出すのが必ず出てくるのが困りものです。
それも善意から出てくるのでしょうけど、そういう善意は不要です。
東京12チャンネルがいち早く娯楽番組を始めたことに対しても、そういうことを言っている人たちがいるみたいですが、地震の映像ばかり見ていたら気が滅入ります。
こんな時こそ娯楽が必要で、子どもたちに地震の映像ばっかり見せられますかって。
それがテレビ東京の役割です。
地震の翌日である3月12日の深夜、知人が主催でイベントをやる予定で、私も行くつもりでした。
その知人から事前に相談され、アホな内容も含まれているため、「Ustの放送はやめた方がいいが、深夜なんだから、電力需要のピークとは関係がなく、やっていいんじゃないか」とアドバイスしました。
しかし、数時間前に結局中止になってしまいました。
無料にして会場を開放しようとしたらしいのですが、それができなかったのが中止の理由。
文 = まつざわくれいち/1958年生まれ。『エロスの原風景』(ポット出版)、『風俗お作法』(小社)など著書多数。
イラスト = 友沢ミミヨ