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- 第12回
地元の人たちが口々に言っていたのは、「福島の人間は他県では差別される」という話です。
大げさにされているところもあるんだと思うのですが、子どもだけじゃなく、大人までが差別する事例が事実あるらしい。
●癒し系、ゆるふわ系で増える指名
そんな福島の人たちには申し訳ないですが、その後、聞いたところによると、都内の風俗店はやはり調子がいいみたいです。
「今までで一番忙しい」と言っているデリヘル嬢もいます。
東京から脱出してしまったのもいるので、出勤が確保できず、少ない人数で回しているために忙しいということもあるんでしょうけど、客の絶対数も増えている。
水商売は危機的、風俗は震災前に戻った、あるいは震災前より人が入っていることに対して、「生命の危機を感じると性欲が高まる」との解釈をしている人もいます。
自分が終了しそうになると、子孫を残したくなる。
疲れマラもそうだと言われていますね。
それもなくはないのかもしれないですが、SMクラブに人が集まっていることから見ても、生殖活動とは関係ないんじゃないかな。
やはり不安が衝動になっている。
あくまで私の周りの印象ですが、指名が増えているのは、癒し系、ゆるふわ系が多いように思えます。
そういうタイプこそが今は求められています。
当面は、そっち方面にキャラをスライドしておいた方がいいかも。
なんにしても、東京の風俗産業がボチボチ調子がいいのは救いです。
被災地の女の子たちを受け入れられる余地がありますので。
予想していた通り、横浜や都内で、福島から来た女の子たちが面接に来ているとの話を聞きます。
東京だってすでに安心ではないとも言えますが、福島よりはマシ。
家族がいるとまた別ですが、風俗嬢は身ひとつで移動が可能です。
思い切って東京に来てしまうのも手です。
こっちも人が足りませんので。
彼女たちは不安でいっぱいなので、皆さん、優しく受け入れてやってください。
日頃、世の中から、白い目で見られる風俗業界だけは、困った時には互いに助け合いたいものです。
文 = まつざわくれいち/1958年生まれ。『エロスの原風景』(ポット出版)、『風俗お作法』(小社)など著書多数。
イラスト = 友沢ミミヨ