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- 第14回
●聞き上手でお客を呼ぶ
本当にもったいない。
彼女の魅力はさまざまあるのですが、もっとも大きいのは聞き上手ってことかもしれない。
以前から書いているように、接客の基本は「話し上手」より「聞き上手」です。
彼女は相手をジッと見て、話を真剣に聞く。
しかも、本当に面白そうに聞く。
次に会った時も、前の話を詳細に覚えていて、続きを聞きたがります。
こっちも、彼女に面白がってもらいたくて、いい話があると「彼女に教えなきゃ」と思って会いたくなります。
このことは前に聞いたことがあります。
「人の話が面白いんですよ。結婚が早かったから世の中のことを知らない。誰に話を聞いても面白い。私は何もしていない。聞いているだけです」
インタビュアの鉄則は、相手の話を面白がることです。
インタビューした時に、「つい話しすぎた」と言われると大成功。
実際、私の反応は大げさで、驚いたり、笑ったりがヴィヴィッドなので、人はついつい話しすぎるらしい。
大げさにしているつもりはないのですが、面白い話を聞くと「へえ、それで、それで」と身を乗り出しますし、驚くべき話を聞けば、「えーっ!」と大きな声を出す。
この電話でもそうです。
人は自分の話を面白がってくれる人を前にすると、「もっと喜んでもらおう」と思って口が軽くなるのです。
それを意図してやっているわけではないがために、面白くない時は面白くない反応をしてしまうので、相手はいよいよ話す気がなくなります。
これが私の反省点。
私がインタビューされる場合でも、反応が乏しいインタビュアだと、「ちゃんと話を聞いているのかな」と気分が乗らず、十分は話し切らずに終わってしまいがちです。
だから、インタビューは録音をして、メモは補助にした方がいい。
じゃないと、どうしてもメモに気をとられて、話に集中できず、笑うべきところで笑えなかったりする。
彼女のようなタイプはいいとして、そうじゃない人は「人の話を面白がる」という工夫をするといいかも。
面白がろうとすれば面白く思えてきたりもするものですし。
むかーし、つきあっていた女の子は、人の話を聞いている時にやたらとアクビをする悪い癖がありました。
悪気はないのですが、いい気持ちはしない。
風俗嬢にとって寝不足は厳禁です。
規則正しい生活になりやすいので、子持ちの風俗嬢は有利です。
もっともっと彼女に話を聞いて欲しかった。
電話で話せばいいけれど。
文 = まつざわくれいち/1958年生まれ。『エロスの原風景』(ポット出版)、『風俗お作法』(小社)など著書多数。
イラスト = 友沢ミミヨ