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- 第15回
彼が超一流の店はさほど客が落ちていないのではないかと思っているのは、こういう時代は、トップだけが残ることが多いんですよね。
今まで3軒の店に行っていた人が、1軒だけを残す場合、トップの店を残します。
タクシーの運転手の話でも、今までは銀座で飲んで八王子までタクシーで帰っていた人が、八王子まで電車で帰って、そこで飲んでタクシーを使うようになって、長距離では乗らなくなってきたそうです。
「近郊を流しているタクシーはそれほど落ちてないですけど、都心は昨年の6割から7割くらいに落ちてます」
銀座にもたまには行っていて、その時も自分の中でのトップを残す。
「お客さんに聞いても景気のいい話はひとつもない。売り上げが落ちていない会社もありますけど、守りに入って、経費を使えないって言いますね」
原発もそうですし、また大きな地震があるかもしれないので、蓄えが必要だと皆が感じています。
今が異常なのでなく、何十年間も日本人は異常な高揚の中にいたのかもしれません。
マイナス安定が当面続きます。
冒険しなくなって、必要のないものには金を出さない。
コンビニだって、ローソン100ストアは客がいっぱいです。
●安心な店の確実なコが残る
風俗店の客も、安心な店の確実な女のコと遊びたがります。
余裕の部分の遊びは切り詰めて、トップの一人を残す。
地道に常連を溜めてきたのはいいとして、厳しいのは、フリーを拾い集めていたコたちや新人です。
こんな中、私の知人は画期的な新しいサービスを計画中です。
この計画は、被災地から上京して風俗店で働き始めた女のコのために何かできないかというところから始まってます。
この動機がいいですね。
都内にも続々被災地からやってきた女のコが面接に来ているようですが、フリーの客が次々とつく状況ではない。
そのコたちの救済システムなのですが、客にとってもありがたいサービスです。
始まったらまたお知らせしますので、それまで皆さん辛抱してください。
文 = まつざわくれいち/1958年生まれ。『エロスの原風景』(ポット出版)、『風俗お作法』(小社)など著書多数。
イラスト = 友沢ミミヨ