- 風俗求人てぃんくる >
- コンテンツ >
- 松沢呉一のカシコイおもてなし >
- 第16回
●バイでもゲイでもいいじゃない
事が事だけにいよいよ彼氏には言えなくなり、思い悩んだ彼女は、私の知人に相談を持ちかけました。
この知人は男性で、ノンケですが、ゲイ事情にはそこそこ詳しいです。
「毎日セックスをしている彼氏がゲイってあり得る?」と彼女。
ゲイであることを隠して、世間体のために女性とつきあっているんだったら、そうもセックスはしないでしょうから、彼氏はバイかもしれない。
男も女もどっちも好きで、どっちとも楽しくセックスができる。
ただし、女性のバイに比べると、男性のバイは圧倒的に少ない。
女性では、男と別れたら女とつきあい、女と別れたら男とつきあったり、女性とつきあいながらも時々男性とセックスするバイがよくいますが、男のバイは、せいぜい「女ともしようと思えばできる」という程度で、どっちも楽しめる男性の多くは、ノンケからゲイへの過渡期だったりします。
自分がゲイであるとはっきり自覚するまでは、女性とのセックスをなんの問題もなく楽しめる人もいます。
それしか知らないわけですから、その中で楽しむしかないと言いますか。
しかし、そのうち、男とセックスを始めると、女性とはできなくなったりします。
彼はまだ若いので、その可能性は十分ありそうです。
女性の裸はインターネットで見ていないので、すでに十分ゲイであることの自覚をしていながら、まだ体験はないのかもしれない。
「でも、毎日会ってセックスしていて、怪しいメールもしていないってことは、今現在、彼氏は男と浮気しているわけじゃなく、ゲイサイトを見ているだけなんだから、バイでもゲイでもいいじゃないか」と私の知人は答えました。
私が聞かれたら、同じことを答えたでしょう。
今が楽しければそれでよし。
悩むには早すぎますし、携帯を覗き見したことの方が問題のある行為ですから、それを彼氏に言うことの方が二人の関係を崩壊させかねない。
ところが、彼女は納得せず。
この話、ここからが面白いのです。
次回に続きます。
文 = まつざわくれいち/1958年生まれ。『エロスの原風景』(ポット出版)、『風俗お作法』(小社)など著書多数。
イラスト = 友沢ミミヨ