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- 第23回
私の場合、自分が興味のない相手に言い寄られるとうざいと思ってしまって、むしろマイナスなのですが、言い寄られることに意味がある人たちは、フる行為にも意味がある。
言い寄られた上に、「こんな程度では満足しない私」「相手には困らない私」を確認できますから、フればフるほど幸せ。
まるで気があるかのような素振りをして男たちをその気にしておきながら、次々袖にするのがいますが、そういうことだったんですね。
こういうのは高飛車な女と思われたりもしますが、内面は案外不安に満ちていたりするのかもしれない。
これが強度な人は幸せを逃します。
そのゲイの知人がそうですけど、自分の好みの男には迫られたくないのだそうです。
「だって、ドキドキしちゃって、フれなくなるじゃない。そういうブスな自分を見たくないから」
何言ってんのか、よくわからない。
●男が褒められたいパーツを褒めろ
私はこれまで「とにかく客を褒めろ」と繰り返してきました。
「褒めるところがなかったら、鎖骨でも褒めろ」と。
しかし、男と女ではこれも微妙に違ってきて、男は自分のアイデンティティのあるパーツを褒められることが嬉しい。
女子はどこでも褒められることが嬉しい。
お世辞だとわかっていても嬉しい。
これは程度の問題であって、男も褒められてイヤな気持ちはしないのですけど、自分が褒められたいと思っているところを褒めてくれるとより嬉しく、女たちほどはどこを褒められても喜べるわけではない。
なので、お客を褒める場合は、相手がどこにプライドをもっているのかを見抜ければより効果のある「褒め」が可能になります。
簡単ではないですけど、多くの男に通用するのは、仕事にプライドがあるってことです。
「やさしいですね」と言うより、仕事をするところを見たことないくせに、「仕事ができそうですね」「部下に慕われそう」と言った方がたいてい喜ばれるはずです。
私は「クンニが上手ですね」と言われた方が嬉しいですけど。
文 = まつざわくれいち/1958年生まれ。『エロスの原風景』(ポット出版)、『風俗お作法』(小社)など著書多数。
イラスト = 友沢ミミヨ