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- 第26回
その一方で、数は少ないながら、今も風俗嬢を続けているのが何人かいます。
業種や店は全員変わってますが、こちらもまた元気にやっていることを知るのは嬉しいです。
「風俗嬢はできるだけ早く辞めるべき仕事」と考える人たちにとっては、「いつまでも風俗嬢をやっているのは不幸」ってことになるのでしょうが、私は「ずっとやってもいい仕事」と考えていますから、続ける意思のある人たちが仕事を続けられているのは幸福です。
年齢を重ねるごとに客が減っていく人も多いので、続けたくても続けられないこともあるわけですけど、客との関係をしっかり築いていれば、あるいは歳をとっても続けられる業種に移れば、40代になっても50代になっても働けます。
店のスタッフになったり、金を貯めて経営者になる選択だってあります。
数は少ないですが、巨万の富を築いた女性経営者もいます。
巨万とは言えなくても、家とマンションと別荘を購入し、マンションと別荘は人に貸して家賃収入を得ながら、風俗に関わり続けている人もいます。
どちらであっても、自分の生きたい生き方をしている人は幸せです。
不幸なのは、自分の生きたい生き方をできていない人たちです。
もともと私の知り合いにはそういうタイプはあまりいなかったんですが、「風俗の仕事は大嫌い。できるだけ早く辞めたい」と思いながらも辞められないでズルズル続けるのは不幸です。
そういう意味で、本連載で書いてきたのは「賢く生きる方法」だったかもしれません。
短期で金を貯めてきれいに辞めるにしても、一生の仕事として長く続けるにしても、それぞれやり方があって、考えて仕事をすることが大事です。
私自身、風俗ライターをやってきたことは楽しい思い出です。
人に馬鹿にされることはあっても、そこには誇りがありました。
振り返って楽しかった、やってよかったと思えるように、皆さん、これからも頑張ってください。
文 = まつざわくれいち/1958年生まれ。『エロスの原風景』(ポット出版)、『風俗お作法』(小社)など著書多数。
イラスト = 友沢ミミヨ