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第20回 『クレヨンの王様』の巻 みんな槇村さとる先生って知ってる? 「おいしい関係」ってTVドラマの原作漫画などで有名な先生なんだけど、ご本人もすんごく優しくていい先生でさー。おいらなんかとも仲良くしてくれるんだよね。 先生はただ素敵なだけでなくて、いろんな体験を乗り越えていらしたおかた。ドメスティックバイオレンスの経験などもおありで、だからそんな体験に悩んでいる女の子だったら是非読んでみて欲しいのが、数年前にご自身の半生を語ったエッセイとして出版された「イマジンノート」。槇村作品にはいっていく前に呼んでおくのに、とても参考になると思います。 で! 本日ご紹介するのが「クレヨンの王様」っていう、集英社コミック文庫(本体価格600円+税)から最近発売された作品。この作品とペアで刊行される「コクーン荘1×1」においらは解説を書かせてもらっているんだけども、それと一緒に送られてきたこの「クレヨンの王様」の主人公「ひかり」にすっかり魅せられてしまったもんだからさ。このコーナーで紹介することにしました!(コクーン荘のほうも読んでね! おいらと先生の出会いのことが書かれてまーす) 主人公「ひかり」は放浪癖のある画家の父に、世界中を連れ回されながら育った19歳。父親が亡くなったので、父の弟である叔父を頼って東京にやってきた。叔父は都内で幼稚園を経営。そこには男の子二人と女の子ひとりが、叔父の養子として暮らしていた。四人は身寄りがなかったのを、叔父の愛を受けて大きくしてもらい、その幼稚園をしっかりと守っている。けれど彼らは、資産価値のあるその幼稚園を相続して、ガッポリもうかる学校に改造するという俗な野心ももっていた。 そんなところにひかりがきたからもう大変!叔父と血のつながりがあるひかりに資産を取られてはならぬと、ひかりを口説こうとする緋色。けれど世間の物差しに捕らわれないひかりに、だんだん本気で惹かれていくの。なんちゅーか、中卒だけど、私たち現代の女の子が失った知恵や強さや勇気や正義感、絶対的価値観や自信をもっているひかりの行動がいちいちたまらんのよ! きっとみんなもひかりに惹かれていくと思うから読んでみて! とくに世間の常識にとらわれずに自由でいるてぃんくる読者の皆には、溜飲を下げる場面てすごく多いと思うんだよー! なんかさ。世間の人って外見でばっかり人間を計るじゃない。学歴、会社、仕事、親、資格。そんなもんじゃんくてさ、魂の品格で勝負したいよね。そのへんは、てぃんくる読んでる女の子たちが一番知ってると思うんだ。一度会社のそとで働いて見るとさ、人間肩書きなんて関係ない、ただの裸の人間だってわかるでしょ? そんな肩書きの通用しないときに、一人の人間として人に感動を与えられたり、尊敬されたり、楽しい気分にさせられたりする人間になりたい。そういうのが本物だと思うからさ。 ひかりって女の子はそういうことを教えてくれる女の子なんだ。だからこの漫画、必読!巻末の槇村先生ご自身によるあとがきも秀逸です。是非呼んでくれ! P.S 来月からは、また官能にテーマを戻してみて漫画を紹介していきまーす。楽しみにしててね! |
- ■さかもと未明
- OLから漫画家へ。レディースコミック、エッセイ等各誌で連載を持ち、最近「文學界」で小説デビューも果たす。著作は「ゆるゆる」(マガジンハウス刊)「だって幸せになりたいんだもん」(朝日ソノラマ刊)等多数ありのスーパーお姐さん。