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第9回 第9回 『ガラスの天使』の巻 今年の桜はキレイだったネ~。みんな元気してるー? 今日のおいらは神奈川の相模原にある「常福寺」っていうお寺のイベントにいって、解剖学者の養老猛司先生と佐野三治さんっていう、昔ヨットで10日間漂流して一人生き残ったかたにお目にかかった。養老先生はファンキーですごくステキな親父さまだったし、佐野さんはとても真摯な方だった。生死の境を見たかただから「この桜をあと何年見れるかわからないと思うと、毎日大切に生きたいと思います」なんておっしゃる言葉が凄く深くて、感動してしまったよ。おれたちも毎日を大切に生きようね。 さて今月紹介したい珠玉のレディコミ作家は北川玲子先生。おいらが一番好きなレディコミ作家さんの一人なんだけど、とにかく泣ける切ない話を書く先生なのよ。今回はその中でもとくにおいらの好きな「ガラスの天使」を紹介。「恋愛専科」(蒼馬社)っていう雑誌の第1号にのってるから手にはいったら見てね。 この「ガラスの天使」は、都会のOL生活に疲れてしまって、買い物依存症になり、その借金を返すためにAVに出たことのある女の子、ちさとが主人公。彼女はAVにも疲れて田舎町に旅に出るが、そこで盲目のピアニストに出会うの。その調べに涙が止まらなくなり、その町に引っ越して働き初めたちさとは、やがてその彼と結婚する。ちさとはやっと安らぎを手にいれたわけだよね。見栄や都会の消費文化から離れてやっと自分を取り戻し、真心ある生活を手に入れた。 |
物語はちさとがあるニュースを目にしたとき、急展開を見せる。夫の目の疾患が、手術で直ると知ったちさとは、なんとか夫の目を直して上げたくて必死になってしまうの。夫の秀彦は「目なんか見えなくてもいいよ。500万なんてお金はないし、僕は君がいてくれるだけでいい。」けれどちさとは考える『もう一度だけAVに出れば、500万くらいのお金は作れるかもしれない…』。再びAVに出て、お金を作り、彼の目を見えるようにしてあげるちさと。でも、目が見えるようになった彼は、思いがけないものを「見て」しまい、そこから二人の愛は悲しい結末にむかって一気に走っていくの……。 おいらはこの話を読んだとき、涙が止まらなかった。まごころって何だろう。お金より大切なものがやっぱりあるんだなって、そしてそういう大切なものって。本当に壊れやすいガラスみたいなんだって。北川作品はそういうおいらたちの心の、普段は恥ずかしくてとてもおもてに出せない、柔らかくて子供のままの純粋な部分に響いてきてしまうんだ。手にはいる単行本では『わた雪』(蒼馬社/定価951円)ってコミカルだけとやっぱり心に響く切ない愛の物語。ぜひ読んで欲しい。おすすめだよ。 ねえ、おいらたちの人生であと何度桜が見れるんだろう。もし人生でそんな桜みたいなもの、ガラス細工のようなきれいな心や純情に出会ったときは、ダイヤが買えるかもしれない生活捨てても跳び込んで大切にしなくちゃいけないのかもしれなよ。そんなこと考えさせられるのがこの北川作品なんだ。ぜひ読んで見てね。絶対感動だから! |
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