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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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コンサートに行ったときのことです。演奏が始まった直後、私の席より何列か前の席が空いているのを発見。いい席を空 けておくのはもったいないし、もしこの席の人が来たら自分の席に戻ればいいや、と思って空席に移動。結局、最後までその席で見てしまいました。
でも、終わったあと、その席のチケットの持ち主が声をかけてきたんです。そして、私のせいで自分の席に座れず、後ろのほうの空席で見なければならなかったからと、チケットの代金を請求してきました。このお金、払わなきゃダメ?
演奏中でも、私に声をかけて確認すればすんだことなのに……。
- (24歳・早く言ってよさん)
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- 座席指定のコンサートで、空いていた席に移動した
- 終演後、その席のチケットの持ち主からチケット代を請求された
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座席が指定されているコンサートの場合、チケット代金には座席指定が含まれ、「決まった座席で見る権利」を有することになります。チケットを買う人は、指定された座席で楽しむ権利を購入したといっていいでしょう。ですから、早く言ってよさんが座る権利があるのは、自分が買ったチケットの席だけ。よい席が空いているのを「もったいない」と思う気持ちはわかりますが、だからといって、他人がお金を出して買った席に勝手に座って、 他人が買った権利を侵害してはいけません。
早く言ってよさんが座ってしまったために、本来ならその席の権利を持っている人が、自分の席に座ることができなくなってしまったわけで、早く言ってよさんの行為は、その席のチケットを買った人の権利を侵害する不法行為といえるでしょう。被害者となったチケットの持ち主から、チケット代や慰謝料などの損害 賠償(民法第710条)を請求されても仕方がありません。
ただし、いくら自分の席がふさがっていたからといって、チケットの正当な持ち主が、自分の席に座ることをあっさりとあきらめるのもおかしな話。早く言ってよさんに声をかけるとか、会場のスタッフにチケットを示して確認するとか、自分の席をとり戻す方法はいろいろあったはず。それをしなかったことはチケットの持ち主の過失といえます。過失相殺(被害者の過失の割合に応じて損害賠償額が減額される)によって損害賠償額が減額される可能性もありますから、請求された金額を素直に支払ってしまっては損。相手にも過失がある、という点をきっちり主張しましょう。
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき