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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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ショッピングモールを歩いているとき歩道で転び、足の指の骨にひびが入ってしまいました。転んだわけは、歩道が濡れていて足が滑ったから。あるお店の前にだけ水がまいてあったんですが、歩道の表面がツルツルした石づくりだったので気づかなくて……。お店の人も心配してくれたんですが、歩道が濡れていたことに対して文句を言ったら、「掃除をするために水をまいただけ」と開き直られてしまいました。何だか全部私のせいにされたみたいで頭にくる! 店にだって絶対に責任があるはず! 治療費、払え~!
- (21歳/普通の靴がはきたいさん)
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- 滑りやすい石づくりの歩道で転んだ
- ある店の前にだけ歩道に水がまいてあった
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転んだのは自分のせいか、それとも歩道に水をまいた店のせいか? これはなかなか難しい問題です。普通の靴がはきたいさんが「歩道が濡れてなければ転ばなかったわよ!」と思う気持ちはよくわかります。でも店側の言い分は、おそらく「掃除のためにしたことであり、転んだのは本人の不注意のせい」というものでしょう。
転んだ責任がどちらにあるかを見極めるポイントは、「濡れた歩道で人が足を滑らせることを予見(ものごとが起こる前に、それを見通すこと)できたか?」ということ。このケースでは、歩道が石づくりだったということがカギになりそうです。ただでさえ表面がツルツルしているところに水をまけば、さらに滑りやすくなるのは当たり前です。歩道は店の私有地ではなく不特定多数の人が歩く公道なのですから、人が転びやすいような状態にしてはダメ。たとえ掃除のためであっても、これまで転んだ例がある場合であれば予見可能性があります。普通の靴がはきたいさんは、店側の不法行為に対する損害賠償(民法第709条)として、治療費の一部を請求することができます。
ただし、同じようなケースでも、歩道が普通のアスファルトだった場合は話が別です。アスファルトの表面は少しぐらい濡れても滑りやすくなるとはいえませんし、転ぶ人がいるとは予見できません。「濡れている」ということもひと目でわかるはず。歩行者にも足元に注意する義務があるのですから、転んだことを店のせいにしようとしても無理。歩行者が損害賠償を求めることはできないでしょう。
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき