- 風俗求人てぃんくる >
- コンテンツ
お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
-
何げなく読んでいた雑誌で、うちの犬の写真を発見! 背景の感じから、近所の公園で散歩させているときに撮られたものだと思うんですが、雑誌に載ることはもちろん、写真を撮られたことも知らなかったんです。ひとこと断ってくれれば、撮影も掲載もよろこんでOKしたのに、無断で雑誌に載せるなんて、私の愛犬の肖像権、どうしてくれる! 出版社に文句を言ってやりたいです。
- (22歳/チワワ女さん)
-
-
- 散歩中の犬の写真を無断で撮影された
- 犬の写真を無断で雑誌に掲載された
-
「肖像権」とは、自分の顔や姿を、みだりに撮影・描写・公表などされない権利のこと。肖像権についてはっきりと規定した法律はありませんが、プライバシー権の一部として、憲法第13条で認められている「幸福追究権」に属するものと考えられています。本人の承諾を得ずに雑誌などに写真を掲載することは肖像権の侵害に当たり、損害賠償請求(民法第709条)などの対象になります。ただし、これに当てはまるのは「人」だけ。チワワ女さんのケースのように、写真に写っているのが犬だけだった場合は、少し考え方が変わってきます。飼い主さんにしてみれば、犬は自分の子どものようなものでしょう。でも残念ながら、法律上は飼い主さんの「所有物」。「物」である以上、犬の肖像権を主張することは難しいのです。
では、犬だったら許可なしに撮り放題、雑誌にも載せ放題なのかといえば、そんなことはありません。他人の所有物を許可なしに使用することは所有権(民法第206条)の侵害に当たる可能性があり、また犬を連れての散歩途中ということで、チワワ女さん自身のプライバシーの一部を侵害する可能性もあります。この場合、写真を勝手に撮影することも掲載することも許されません。犬がリード(引き綱)につけられてチワワ女さんと一緒に歩いていた場合、身につけた衣服がその人の一部であるように、リードによってチワワ女さんと一体化している犬は「チワワ女さんの一部」と解せられ、プライバシーの侵害を主張することも可能だからです。
所有権と肖像権のどちらに関係してくるかは微妙なところですが、どちらにしても他人の権利を許可なく利用して利益を得るのは問題。遠慮せず出版社に抗議して、素直に謝らない場合は「損害賠償しろ!」と言ってやりましょう。
-
- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき