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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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彼の家で、彼とちょっとしたことから大ゲンカに。すごく怒って興奮した状態で家に帰り、翌朝気づくと、指輪がない! 亡くなったおばあちゃんから譲ってもらったもので、ずっと大切にしていたものです。彼の家で外したことを覚えていたので、すぐに行って確認すると、「頭に来たから捨てた」と言うんです。私が大切にしていたことを知ってたはずなのに! 思わず責めたら、「弁償すればいいんだろ」と1万円渡してきました。宝石が入っているわけでもなく、たしかに元の値段は1万円ぐらいかもしれないけど、私にとっては何十万円もの価値があるのに! このまま1万円でごまかされてしまうの?
- (19歳/おばあちゃんも怒ってるぞさん)
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- ケンカした彼に、指輪を捨てられた
- 指輪は祖母からもらったもので、とても大切にしていた
- 指輪を大切にしていることは彼も知っていた
- 彼は指輪の代金1万円を弁償しようとした
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他人のものをわざと捨てるのは、犯罪行為であるほか、民法上も明らかな不法行為(民法第709条)。捨てられたものの持ち主は、損害賠償(民法第710条)として品物の時価相当額の金額を請求することができます。
でも、このケースでポイントになるのは、おばあちゃんも怒ってるぞさんが指輪を大切にしていたことを彼も知っていた、という事実。指輪の金銭的価値は、たしかに1万円かもしれません。でも、持ち主にとってその品物が特別な意味を持っていたりする場合は、品物に対する愛着も法的保護の対象となるのです。
おばあちゃんも怒ってるぞさんにとってこの指輪は、二度と手に入れることのできない特別なもの。彼はそれを知っていながら捨てたのですから、指輪の代金に当たる損害賠償に加えて、大切なものを失った精神的苦痛に対する慰謝料を請求されても仕方がありません(民法第710条)。おばあちゃんも怒ってるぞさんは、自分にとって指輪が何十万円もの価値があると感じられるなら、1万円で泣き寝入りする必要はありません。「愛着」に相当する金額を慰謝料として彼に請求してやりましょう。
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき