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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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リスナーから送られてきたネタを紹介する人気のラジオ番組、その日のテーマは「笑える恋愛話」。彼氏とドライブしながら聞いていたのですが、途中で硬直。なんと、元カレに送った私の恥ずかし~いラブレターが読まれてる! 手紙の中では彼と自分のことをニックネームで呼んでいるのですが、親しい人には送り手が私だってバレそうな気も……。たしかに笑えるけど、こっちは恥ずかしくて、その後数日間、だれかに「アレ、聞いたよ~」なんて言われないかとビクビクものでした。書き手である私に断りもなく手紙を公表する権利、元カレにあるの?
- (24歳/手紙返せさん)
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- 元カレに送ったラブレターが、ラジオで読まれてしまった
- 手紙の中に自分や元カレの名前は出てこない
- 手紙をラジオに投稿することは知らされていなかった
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思想や感情を表現した文芸、学術、美術、音楽作品を「著作物」といい、著作物の利用を許したり禁じたりする権利(著作権)はそれをつくった人(著作者)にあると定められています(著作権法第2条1項、第21~26条)。ラブレターは相手に対する自分の思いを書きつづるもの。法律上は「文芸」の一種であると考えられます。つまり手紙返せさんが書いた恥ずかしいラブレターも立派な著作物。本来なら、著作者である手紙返せさんの許可を得ずに利用することはできません。
でもここで考えなければならないのは、そのラブレターを彼に送ったという事実。送ったことにより著作権を譲渡したとも解されますし、少なくとも利用を許諾したとも解されます。
著作者には他人にその著作物の利用を許す権利があり、利用を許された人は著作者の許した範囲内で著作物を利用することができるのです(著作権法第63条)。常識的に考えた場合、個人的な内容の手紙は他人に見せないのが普通。でも元カレが「手紙を公表するのなんて、珍しいことじゃないじゃん!」という考えの持ち主だった場合は事情が違ってきます。自分がもらった手紙を公表することも「著作者の許した範囲内」と受け止めた可能性があるからです。このあたりは、考え方に個人差があるため一概に決めつけるのは難しいところ。元カレの行動が著作権法に触れるかどうかは微妙です。
こうしたトラブルを防ぐためには、手紙の送り手が「著作者の許す範囲」を、証明できる形で示すしかありません。いちばん確実なのは、手紙に条件を書いておくこと。今後ラブレターを書くときには、「ほかの人には見せないでね?」などのひと言を忘れずに添えておきましょう。
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき