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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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今のルームメイトのA男、じつは元カレ。つきあっていた頃、一緒に住んでいた2DKの部屋をシェアして今もそのまま住んでいます。別れて1年以上たつけど、恋人としてよりルームメイトとしてのつきあいのほうがずっと楽しい! もちろんヨリを戻す気はまったくありません。
でも問題は、A男の彼女のE美。私が元カノだと知って、「出て行け」とうるさいんです。A男も私もこのまま住んでいたいのに……。文句を言うだけならまだいいけど、私の留守中に部屋に勝手に入ってきて、荷物を段ボールに詰めてたんです! 最近では「訴えてやる」とまで言いだしたんだけど、私のしてること、法的に問題がありますか? どっちかといえば、迷惑してるのは私なんだけど……。
- (24歳/引っ越したくないさん)
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- 別れた元カレとルームシェアをしている
- 元カレの今の彼女に、別居するように迫られている
- 今カノが部屋に無断で入ってきて、引っ越しの荷造りをしていた
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結論からいえば、引っ越したくないさんのしていることは、法律上なんの問題もありません。A男さんとE美さんは婚約しているわけではありませんので、引っ越したくないさんと一緒に暮らそうがヨリを戻そうが、本人たちの自由。E美さんが妻や婚約者であれば法的に保護されますが、「彼女」というだけのE美さんには、A男さんを縛る権利も引っ越したくないさんを追い出す権利も認められないのです。
「元カノと住んでるなんてイヤ!」という気持ちはわかりますが、E美さんの行為はやり過ぎ。まず、引っ越したくないさんの個室に無断で入り込むのは、住居侵入罪(刑法第130条)にあたります。引っ越したくないさんの部屋はA男さんの部屋でもあるので、E美さんは「彼の家の中のひと部屋に入っただけ」と言うつもりかもしれません。でも、他人と共有している部屋であっても、引っ越したくないさんの個室は本人だけの占有する「住居」です。さらに、他人の荷物を勝手に荷造りして引っ越しを迫るのはプライバシーや平穏な生活を侵害する人格権侵害となり、明らかな不法行為(民法第709条)。荷造りしたものを家の外に持ち出していた場合は、窃盗罪(刑法第235条)に問われる可能性もあります。
仮に裁判を起こしたとしても、引っ越したくないさんが法的な責任を問われることはなく、反対にE美さんのほうが痛い目に遭ってしまうはず。でもE美さんの嫉妬心もわからないでもない……。ここは一つ、A男さんを交えて3人でじっくり話し合い、オトナの解決を目指すのが正解ではないでしょうか?
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき