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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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同僚のT美と一緒に電車に乗りました。車内ではつり革につかまっていたのですが、電車が揺れたときによろけ、T美の足をピンヒールで踏んでしまいました。電車を降りたあとまでT美が痛がったので救急病院に行ったら、なんと足の指の骨にヒビが……。申し訳ないと思ったので、病院の費用を支払い、タクシーで家まで送りました。その翌日、T美から電話をもらってびっくり! 「1週間お店に出られないから、その給料分のお金を払って」と言うんです。たしかにケガをさせたのは私だけど、わざとじゃない!治療費やタクシー代を支払っただけじゃ、足りないの?
- (ピン子さん/24歳)
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- 電車の中で同僚の足を踏み、ケガをさせてしまった
- 車内では、つり革につかまっていた
- 病院での治療費と、病院への交通費を負担した
- 相手から、ケガのせいで仕事を休むので、その間の給料分のお金を要求された
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わざとではないのに人にケガをさせてしまったら……。自分にどこまで責任があるのか、悩んでしまうところでしょう。こうした事故の場合、責任の有無は「過失があるかどうか」で判断されます。過失とは「予見可能か」「結果回避可能か」で判断されるということ。例えば、電車がある程度揺れるのは仕方がないこと。常識的な大人なら、「電車が揺れる→立っているとよろける→人の足を踏む」ということを予見できるはずです。そこで、電車が揺れてうっかり足を踏んでケガをさせることがないよう、結果回避義務を尽くしていたかが問題になります。これがないときに限って不法行為(民法第709条)と見なされ、治療費などを含む損害賠償(民法第710条)の対象となります。
ピン子さんの場合、車内でつり革につかまって、結果を回避する注意を尽くしていたのですから、電車の揺れによる事故を防ぐ努力をしていたことになります。したがって、よろけたからといってピン子さんを責めることはできません。法的には、T美さんのケガに対するピン子さんの責任はゼロ。治療費や病院への交通費を負担したのも、法的義務ではく、個人的な善意からということになります。ですから、もちろん休職中の給料など支払う必要はありません。
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき