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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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うちの店でマネージャーをしているオヤジ、ホントに仕事ができない! おまけにオタクっぽくて、超暗い! 見てるとイライラするから、いつもわざと本人に聞こえるように、「キモい」とか「あれじゃ結婚できなくて当たり前」なんて悪口を言ってたんです。そしたら次の日、本社からエラい人が来て、私がしたことはセクハラだって言うんです。ちょっと悪口言っただけなのに……。それに私は女だし、職場での立場だってマネージャーより下。セクハラしたことにはならないですよね?
- (オヤジはキライさん/20歳)
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- 職場で、男性上司の悪口を言った
- 悪口の内容は「キモい」「 結婚できない」など
- 会社から、セクハラをやめるようにと注意を受けた
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セクハラ(セクシャル・ハラスメント)とは、相手を嫌な気持ちにさせる性的な言動のこと。会社などの事業主には、セクハラ対策が義務づけられています(男女雇用機会均等法第11条)。 一般的なセクハラのイメージは、中年オヤジの上司が、女性の部下に……、というものでしょう。確かに以前は、女性が被害者であることを前提として法律が作られていましたが、現在では男性も被害者の対象に含まれています。
また、職場での地位を利用して嫌がらせをする「パワハラ(パワー・ハラスメント)」とは違い、セクハラに職場での地位の上下は関係ありません。つまり、オヤジはキライさんが女性で、マネージャーより立場が下であっても、加害者と見なされる場合があるということです。
職場での言動がセクハラかどうかを決めるポイントは2つ。1つ目は加害者の言動が性的なものであること、2つ目は被害者がそれを不快に思うことです。今回のケースでは、「キモい」はともかく、「結婚できない」という言葉には、明らかに性的な意味合いがあります。言われた側のマネージャーがそれを不快に思ったのなら、完璧なセクハラです。オヤジはキライさんに悪気はなかったとしても、そんなことは関係ありません。セクハラの場合、被害者がどう感じたか、が重視されるのです。ですから、会社から注意や指導を受けるのは当たり前。セクハラを放置したら、会社がマネージャーから損害賠償を請求される恐れがあるからです(民法第709条、第715条)。
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき