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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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友達のA子に頼まれて、20万円貸しました。お金が必要な事情はわかっていたので、少しずつでもいいから必ず毎月返す、という約束をしました。でも3ヵ月後、A子は自己破産。それっきり、返済もストップしてしまいました。その後、A子はキャバクラで働き始めて、収入も安定。それなのに本人に借金を返す気持ちがなさそうなので、「そろそろ返して」と頼んだんです。
そしたらA子のヤツ、「自己破産したんだから返す義務はない」って、強気の反論! たしかに自己破産したけど、今は毎月40万円ぐらい稼いでいるはず。返さずに許されるはずないですよね?
- (お人よし子さん/25歳)
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- 毎月返す約束でA子にお金を貸した
- A子が自己破産し、返済がストップした
- 自己破産後、A子は仕事に就き、お金が入るようになった
- お金を返すように言ったら、自己破産を理由に断られた
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自己破産とは、借金をした本人が自分で申し立てて破産すること。裁判所から破産宣告を受けたあと、「免責」の申し立てをして認められれば、これまでの借金などを返さなくてもよいことになっています(破産法第253条)。
今のA子さんにはかなりの収入があるようですが、法律上、破産後の財産は、破産前の財産(借金なども含む)とは別、と考えることになっています。つまり、A子さんに返済の義務はなく、仮にお人よし子さんが裁判を起こしても、A子さんが借金を返さない件で罪に問われることはありません。そもそも自己破産は、借金を返せなくなった人がするもの。残念ですが、お金を取り戻せる可能性はごくわずかだと思ったほうがよいでしょう。
では、貸したお金を取り戻せるわずかな可能性とは何でしょう?
それは、A子さんが進んでお金を返すことです。法律では、破産前に貸したお金を破産後に請求する権利はないけれど、本人が進んで返してきた場合は受け取る権利がある、としているからです。
善意でお金を貸してくれた友達にまで、「破産したから返さない」という考え方は、法律的に問題はなくても、人としてどうか?という疑問が残るところ。でも、不公平な感じもしますが、強制的にお金を返させることはできません。残された方法は一つ。A子さんがお金を返したくなるように仕向けることです。まずはよく話し合い、「友達に借りたお金まで踏み倒したら、私、人間失格!」と思わせるように頑張ってみましょう。
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき