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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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向かい側のマンションに最近引っ越してきた女の人は、部屋にカーテンをつけていません。私の部屋と同じ高さに窓があるので、特に夜は、部屋の中が見えてしまうことがあります。この前の夜も、私が洗濯物を取り込もうとベランダに出たら、着替えている女の人の姿が丸見え!
あわてて部屋に戻ろうとしたら、女の人と目が合ってしまい、すごく怒った顔をされました。でも、カーテンのない部屋で明かりをつけていたら、外から見えるのは当たり前。私がのぞき扱いされるのって、ヘンですよね?
- (視力は1・5さん/20歳)
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- 向かい側のマンションに住む女性が、部屋の窓にカーテンをつけていない
- 普通に生活していても、室内が見えてしまう
- たまたま着替えているところを見てしまい、嫌な顔をされた
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法律上「のぞき」として問題になるのは、他人の家、お風呂、更衣室、トイレなど、普通に考えて人が服を着ていない可能性があると思われるところを、正当な理由もなくひそかにのぞき見た場合(軽犯罪法第1条23号)です。視力は1・5さんの場合、自室の窓やベランダがほぼ同じ高さにあるのですから、向かい側の部屋の中が見えてしまっても仕方がありません。ベランダに出たときも、たまたま着替えているところが目に入っただけ。着替え中を狙って「ひそかにのぞき見た」わけではないので、のぞき扱いされる筋合いはありません。
すべての人にとって、穏やかに暮らすことは「法律上保護される利益」に当たりますが、窓にカーテンをつけていない以上、外から室内が見えてしまうのは常識です。それでもカーテンをつけないということは、その部屋に住む女性本人が外から見られる可能性を想定し、それを受け入れていると考えざるを得ません。
相手の女性にしてみれば、着替えているところを見られて誤った被害者意識をもっているのでしょう。でも、被害者どころか、むしろ自分のほうに法律的な問題がある可能性だってあります。例えば、「外から丸見えの部屋で全裸になって着替えている!」というような状況であれば、不特定多数の人が見えるようなマンションの一室なら、公然わいせつ罪(民法174条)として通報されても文句は言えません。たとえ全裸とまではいかなくても、安心はできません。
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき