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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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元カレのD男は、プロのカメラマン。でも私と付き合っていた頃は、写真が趣味の会社員でした。数ヵ月前、D男に撮ってもらった顔写真入りの名刺を作り、お客様に配り始めたのですが、最近になってD男から「名刺にオレが撮った写真を使わないでほしい」という連絡が。でも、撮影者の名前なんて入れてないから、D男が撮ったものだなんて誰にもわからないはず。それに、プロカメラマンになる前に撮った写真に価値があるとも思えないし……。プレゼントしてもらったんだし、私が写ってる写真なんだから、自由に使ったっていいですよね?
- (ポートレイ子さん/ 21歳)
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- 元カレに撮ってもらった写真をお店の名刺に入れた
- 元カレは、今はプロのカメラマンになっているが、当時はアマチュアだった
- 名刺に撮影者の名前などは入れていない
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写真は「著作物」の一種です。著作物とは「自分の考えや思いを創作的に表現したもので、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」のこと。著作物の作者(著作者)には、「著作権」という権利があります。著作物を公表したり複製したりする際には著作者の許可をとらなければならないことになっています(著作権法18条、21条など)。
では、このケースのように、著作物を他人にプレゼントした場合はどうでしょう? 結論から言えば、プレゼントしたあとも写真の著作権はD男さんにあると考えられます。ポートレイ子さんに贈ったのはあくまで「物」であり、著作権まで贈ったわけではない、と考えるのが一般的だからです。プレゼントする際、D男さんが「著作権もキミに贈るから、自由に使っていいよ?」などと言った場合を除き、ポートレイ子さんが無断で写真を使うことは認められません。写真に写っているポートレイ子さんには「肖像権」が認められますが、これは、「自分の姿をみだりに撮影・公表されない」権利。著作権とはまったく別のものです。つまり、「私が写ってる写真なんだから、私の自由にしたっていいじゃん!」ということにはならないのです。
著作権はすべての著作者に認められる権利です。著作者の名前が公表されるか、著作者がプロかアマチュアか、などは一切関係ありません。著作者であるD男さんが「使ってほしくない」と言う以上、名刺にその写真を入れるのはあきらめるしかないでしょう。
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき