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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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念願の子犬を家族に迎えました。よいコに育てたいので、一般家庭向けのしつけの本を買い、張り切ってトレーニングを始めました。でも、毎日頑張り続けて2ヵ月たっても、「おすわり」さえできない! 私が本に書いてあるとおりのことをしても、うちの犬の反応はすべて予想外。全然言うことをきいてくれないんです。この本に書いてあることなんか、ウソばっかり! 返品するから、お金を返してほしいんですけど!?
- (ポチさん/23歳)
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- 犬のしつけの本を買い、子犬のトレーニングを始めた
- 本に書いてあるとおりにしても、犬が言うことをきくようにならない
- 本を返品し、代金を返してほしい
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書店で本を買うことも、売買契約の一種。本を返して返金を求めるためには、売買契約を無効とするか、契約そのものを取り消したり、解除する必要があります。ポチさんのケースに当てはめると、契約を無効にできる可能性があるのは、「この本に書いてあるとおりにすれば、うちのコだってしつけられる」という錯誤(勘違い)があった場合。契約を取り消したり、解除ができるのは、本の内容にだまされた、と認められるような場合や、欠陥があったりした場合でしょう。「欠陥がある」「書いてあることはウソばっかり!」というのは、あくまでポチさんだけの言い分。「勘違いさせられた」「だまされた」という理由で契約の無効や解除を求めるなら、せめて「ほかの多くの読者もしつけに失敗している」などと証明する必要があるでしょう。世間にはノウハウ本がたくさんありますが、常識からかけ離れた内容でなければ「ウソ」とまでは見なさないのが一般的だからです。
また、内容が「犬のしつけ」であるだけに、犬の性格や能力なども結果に影響するはずです。例えば『絶対合格! ○○高校受験』というタイトルの参考書があったとします。その本で勉強した人が、全員合格しているでしょうか? おそらく不合格だった人は、自分の能力不足が原因だと考えるはず。「『絶対合格!』という本にだまされた!」とは思わないのではないでしょうか。ポチさんのケースもこれと同じ。返品や返金が認められることはないでしょう。
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき