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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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私の趣味はタロット占い。仕事の休憩中などに、同僚と一緒に楽しんでいます。この前、B子に頼まれて将来を占っていたら、「事故に遭うかも」という結果が出たんです。本人に伝えたら、怖がって半泣きに。思わずちょっとからかいたくなり、「私の占い、かなり当たるんだよ。気をつけたほうがいいかもね!」と言っちゃったんです。私は冗談のつもりだったんですが、B子は本気でイヤだったみたい。次の日から、私に脅迫されたって店のスタッフやお客さんに言いふらしちゃって……。そのせいで、私はすっかり悪者扱い。悪気はなかったんだけど、私って脅迫者?
- (タロッ子さん/ 21歳)
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- タロット占いで出た悪い結果を本人に伝えたら、怖がった
- からかい半分で「占いはよく当たるから気をつけたほうがいい」と言った
- 占った相手に、「脅迫された」と言われた
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脅迫罪(刑法第222条)とは、相手を怖がらせるために「生命や身体、名誉などに危害を加えるぞ!」と告げること。本当に危害を加えるつもりがなくても、「殴ってやる」「ひどい目に遭わせてやる」など、相手を怖がらせるようなことを言ったりしたりすること自体が罪になります。では、タロッ子さんのケースに当てはめて考えてみましょう。「あなたは事故に遭うかもしれない」というタロッ子さんの言葉を聞いて、B子さんがおびえたのは事実。ただし、タロッ子さんが伝えたのは、あくまで占いの結果です。占いであることも明示しています。また、「私の占いはかなり当たるから、気をつけて」というひと言にも悪意は感じられません。脅しというよりは、むしろ善意の注意や忠告と受け止められる言葉です。占いをどの程度信じるかは人によって違いますが、「言われたことがすべて現実になる」と思っている人は少ないはずです。おまけにタロッ子さんはプロの占い師ではなく、趣味で占いを楽しむ一般人。結果を真に受け過ぎるほうに問題がある、と考えるのが普通です。B子さんにとっては泣きそうになるほど怖かったのかもしれませんが、「占いは100%当たるわけではない」というのが社会の常識。脅迫罪は、言われた側の主観だけで成り立つものではありません。タロッ子さんの発言に「B子を怖がらせてやろう」という意思が感じられない以上、脅迫罪に問われることはないでしょう。
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき