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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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A子が旅行中、ペットの猫を預かることになりました。預かって3日目、猫の食欲が落ちて、血尿が! すぐ動物病院に連れていくと、「ストレスが原因」とのこと。「おそらく、飼い主と離れて環境が変わったせいだろう」と言われました。A子が帰ってくる日には元気になっていたのですが、迎えにきたA子に体調を崩したことを伝えて治療費を請求したら、いきなり激怒!「猫の具合が悪くなったのはあなたのせいで、治療費もあなたが出すのが当然」って言うんです。だけど、猫の不調の原因は「飼い主がいないストレス」のはず。私にはどうすることもできなかったのに、猫の治療費を私が負担しなきゃダメ?
- (コマリさん/22歳)
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- A子が旅行中、ペットの猫を預かった
- 猫が体調を崩したので、すぐ動物病院へ連れていった
- 動物病院で、不調の原因は「飼い主がいないストレス」だと言われた
- 帰宅したA子に治療費を請求したら、猫の不調を私のせいにされ、支払いを拒否された
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他人から物を預かることは、「寄託」という契約の一種に当たります。特に契約書などを交わさなくても、「コレを預かってね」「ハイ、了解」と約束した時点で寄託契約が成立したと見なされます。猫などのペットも、法律的には「飼い主の持ち物」と考えられるため、「物」を預けたときと同じ考え方を当てはめることになります。寄託契約を交わした場合、預かる側には、預かった物をきちんと保管(生き物の場合は世話)する義務が生じます。ただしこの義務は、物を預かることに対して報酬をもらうかどうかによって、求められるレベルが変わってきます。コマリさんのようにお金をもらっていない場合は、預かった物に対して「自分の財産と同程度の注意」を払えばよいことになっています(民法第665条)。
今回のケースで、猫の異常に気づいたコマリさんは、すぐに動物病院へ連れていっています。これは明らかに、預かった猫に対して「自分のペット(財産)と同程度の注意」を払っていると見なされる行為です。また、病院で、猫の不調は「飼い主さんがいないストレス」と診断されています。つまり、猫の体調不良はコマリさんのせいではなく、異常に気づいたあとの対応にもまったく問題はない!ということ。A子さんからお礼を言われることはあっても、治療費を払わされたり文句を言われたりする筋合いはありません。猫の治療費+通院の際にかかった交通費などをきっちりまとめ、堂々とA子さんに請求しましょう。
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき