- 風俗求人てぃんくる >
- コンテンツ
お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
-
私の母の趣味は園芸。先日、帰省したときに、親孝行と思って一緒に県立公園に出かけました。園内で花壇を見ていたとき、母がいきなりバッグからハサミを出し、菊の花の小さな脇芽をチョキン。切った芽をビニール袋に入れて、持ち帰ろうとするんです。どうやら、気に入った花を自宅の庭で育てたくて、挿し芽用の芽を取ったみたい。母に言わせると、「手入れをするときに切って捨てられてしまう脇芽を取っただけ」ということなんだけど……。母のしたこと、ドロボーじゃない?
- (目撃者さん/27歳)
-
-
- 母が、県立公園の植物の脇芽を勝手に切り、持ち帰った
- 切った部分は、手入れの際に切らなければならない部分
-
日本には、「花盗人は罪にならない」という言葉があります。これは「桜の枝を盗んだ男が見事な和歌を詠んで罪を許された」という狂言を元ネタにしたたとえ話、または、「花を盗む↓他家の花を盗み見る」という意味で使われるものだといわれています。お母さんが花を愛する気持ちはわかりますが、「花盗人は……」を言葉通りに受け止めるのは間違いです。
県立公園の敷地内に植えられた植物は、県の財産です。それを勝手に持ち帰ることは窃盗罪(刑法第235条)に当たります。また、脇芽を切り取ることは「植物の完全な状態をこわす行為」と考えられ、器物損壊罪(刑法第261条)に当たる可能性も。
窃盗罪や器物損壊罪に問われた場合、懲役や罰金が科されます。たとえ盗んだものが花であってもキッチリ罪になり、つかまったときに風流な歌を詠んでみせても許されるとは思えません。犯罪者になりたくないなら、「花芽をチョキン」はやめておくべきです。
実際問題として考えた場合、花芽ひとつで警察に突き出されるようなことはないでしょう。でも、「捕まらないから、やってよい」ということにはなりません。「花芽ひとつぐらい」「私だけなら」などと軽く考えているのでしょうが、もし、お母さんと同じ考えを持つ人が大勢いたら、公園の花壇は丸坊主になってしまいます。
花芽が欲しいなら、無断で切るのではなく、公園の管理者に頼んでみるのがおすすめです。手入れの際に切らなければならないような脇芽なら、よろこんで分けてくれるのではないでしょうか。
-
- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき