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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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3年前から付き合っていたA男の子どもを妊娠しました。私はこれをきっかけに結婚を、と思ったのですが、A男に妊娠を告げると「産んでほしくないし、結婚もできない」と言われました。理由を聞くと、「家柄が違い過ぎるから、結婚は無理」と。確かに彼はちょっとした資産家の長男だけど、今どき「家柄」って……。せめて最低限の責任は取らせたいので、たとえ結婚しなくても絶対に産むつもりであること、生まれた子どもを認知してほしいことを伝えました。すると数日後、彼とご両親がやってきて「認知はできない」と言い、お金を置いていきました。私はお金が欲しいわけじゃなくて、A男に父親としての責任を取らせたいだけ。嫌がる彼に認知させることはできますか?
- (サラリーマンの娘さん/2 4歳)
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- 付き合っていた彼の子どもを妊娠した
- 子どもの認知も断られ、親がお金を置いていった
- 彼は嫌がっているけれど、どうしても認知させたい
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「認知」とは、結婚していない相手との間に生まれた子どもを、父親が自分の子だと認めること(民法第779条)。責任感のある大人なら、自分から「任意認知」をするべきですが、残念ながら、世の中にはA男さんのような無責任な男性も存在します。でも、そんなずうずうしい男を法律が見逃すわけがありません。任意認知をしない場合は、「強制認知(民法第787条)」という方法があるのです。
まずは、家庭裁判所に認知を求める「調停」を申請します。調停では、裁判官と調停員の立ち会いのもとに話し合いが行われます。A男さんが、この段階で認知をOKすれば、それでよし。OKしない場合は、裁判を起こすことになります。裁判では、主にDNA鑑定によって父子関係を調査しますが、今回のケースでは両親がやってきてお金まで置いていったのですから、A男さんが父親であると認めたも同然。こうした事実も裁判の証拠になるので、そのときのやりとりや渡された金額なども、しっかり記録しておきましょう。さまざまな証拠から親子であると証明されれば、強制認知の判決が出て、A男さんの気持ちとは関係なく、認知したと見なされます。
認知することによって、子どもと父親の間には法律上の親子関係が生まれます。父親であるA男さんは養育費などを負担しなければならず、子どもはA男さんの財産の相続権を持つことになります。これからの生活を考えると、認知をするとしないとでは大違い。きちんと認知させて、子どもの権利を守りましょう。
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき