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お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!
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今、付き合っているA男は既婚者。付き合い始めるときから結婚していることは知っていたけれど、「奥さんとは家庭内別居状態で、すぐに離婚するつもり」という彼の言葉を信じていました。ここ1年ほどは、週の半分ぐらいは私の家で生活していたし、私としては、奥さんと離婚したらすぐに結婚できると思っていたんです。でもこの前、A男の奥さんが怒鳴り込んできて、なんと「妊娠している」と……。これまで離婚の話など出たこともなく、彼も赤ちゃんの誕生を楽しみにしているとか。奥さんは、彼との家庭はこのまま守り、不倫相手の私を訴えると言ってきました。でも、だまされたのは私のほう。こんなの、詐欺です! 奥さんへの慰謝料、払わなきゃダメ? または、A男を詐欺で訴えることはできますか?
- (第二夫人さん/24歳)
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- 既婚者と知りながら彼と付き合っていた
- 彼は、すぐに離婚するつもりだと言っていた
- 実際には彼の家庭は円満で、奥さんは妊娠していた
- 彼の奥さんから慰謝料を請求された
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既婚者と知りながらお付き合いすることが法的に許されるのは、相手の家庭が破綻(はたん)している場合だけ。ちなみに破綻していると認められるためには、一定期間以上別居しているなどの事実が必要です。週の半分を第二夫人さんのところで過ごしていても、A男さん夫妻の関係は破綻していたとは言えません。A男さんの奥さんには、妻としての権利や地位を侵害されたことを理由に慰謝料を請求する権利があり、第二夫人さんは支払いに応じなければならないでしょう。
A男さんにだまされた!という第二夫人さんの気持ちはわかりますが、既婚者が浮気をする場合、相手にはなんと言うでしょう?「単なる浮気だから、割り切って付き合ってね!」と正直に言える人は少ないはず。A男さんのように、家庭がうまくいっていないフリをすることが多いのではないでしょうか。確かに人をだましていますが、こうしたウソが詐欺と見なされるのは、だまされた側が「財物(お金や価値のあるもの)」を貢いだ場合だけ。性的関係は「財物」ではないので、A男さんを詐欺で訴えるのは無理でしょう。
とはいえ、A男さんが第二夫人さんをもてあそんだことは事実ですから、精神的苦痛に対する慰謝料を請求することは可能です(民法第709条・710条)。ただし、A男さんの言うことを疑いもしなかったのは、第二夫人さんの落ち度と言わざるを得ません。A男さんに請求できる慰謝料は、A男さんの奥さんに支払わなければならない金額と同額程度がせいぜいでしょう。
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- 裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。
イラスト/つぼいひろき