高校生のときに村上龍さんの小説を読んだことが、ＳＭの世界に興味を持ったきっかけなんです。「SMって、いったいどんなことをするのだろう。気持ちいい世界なのだろうか」って……。なので、漠然としたイメージだけで、ＳＭのこと、詳しくは知らなかったんです。高校を卒業して、約２年近く悩んだのですが、好奇心のほうが勝ったので、てぃんくる業界に飛び込むことにしました。
　私が働いている「無我」は、初めて電話したときに対応してくれたスタッフの話し方がやわらかい雰囲気で、印象がとてもよかったので面接を受けることにしました。実際に面接のときも、プレイの内容をちゃんと未経験者の私でもわかるように詳しく説明してくれて、お店の熱意が伝わってきたんです。正直、講習を受けるまでは、不安と期待が半々という感じでしたね。でも、講習の担当者が女性で、とても親切で丁寧に、一生懸命教えてくださったことに、感激しました！　もう、本当に感謝の一言ですね。それで「このお店なら、信頼できる」と思い入店することを決めました。
　お仕事を始めてから大変だったのは、お客様の性癖の違いを見抜くことでした。本当に十人十色なんですよね。誰一人、まったく同じって人はいないんですから。プレイの流れや道具の使い方はすぐに覚えられました。Ｍ女なので、ご奉仕をするときにお客様一人一人のよろこぶポイントを探すことが重要になってくるんですよ。もちろん、直接お客様には聞けないので、会話の内容やプレイ中の言動の中にポイントを見つけられるようになるまでには時間がかかりました。
　この世界は、単純に肉体だけの快楽だけではなく、精神的な快楽を追求する部分が多い気がするんですよ。だから、お客様にはメンタル面がビンカンな方が多いです。私も、自分自身を高める意味を含めて、お芝居を見に行ったり、たくさん本を読むようにして、別の世界からインスピレーションをもらうようにしています。SMは、人間の持つ、フェチや性癖の奥深さに触れることができて、とても楽しい世界なんですよ。