実は調理師になりたい夢があって、飲食店のキッチンでアルバイトをしていたんです。専門学校で調理師免許を取りたいと思ったんですが、学費がけっこう必要だったんですよ。それでお金を稼いで、夢に近づこうと思ってデビューしました。
　この「BLENDA」を選んだのは、求人雑誌の広告ですね。広告が大きくて、信用できそうに感じて、まず電話をしてみました。すると電話の受け答えの声は若いし、しっかりしてそうな印象だったんですね。あとから知ったのですが、「BLENDA」って千葉ですごく有名なグループのお店だったんです。
　入店した直後は、失敗もありましたねぇ。一番印象的だったのは、ホテルの浴室でバスタブに入る瞬間に足を滑らせて後頭部強打！　こっちは恥ずかしいし、お客様は私以上に動揺しているし。それでも、そのあと、ちゃんと接客しましたけどね。後遺症はなかったんですけど、そのお客様は心配してか、あとから本指名で来てくれました。恥ずかしかったけど、うれしかったですよ。
　このお店の好きなところは、やはりスタッフです。接客が大変な泥酔客は断ってくれて、働きやすいのも魅力ですね。自分を含めて未経験のコが多いから、スタッフがそういう不安な気持ちをわかってくれて、よくアドバイスしてくれます。中でも、ちょっと人見知りな私に「わりと初対面のときに心を開けないタイプだから、無理に心を開こうとするより、女優になったつもりで、少し自分を演出してみれば」とアドバイスしてくれたのが印象的でしたね。これを実践してから、自分の中にいる、もうひとりの自分に出会えた気がしましたし、オンとオフの切り替えもしやすくなりました。さらにオフの自分がすごく楽になれたんですよ。
　おかげで、今は「常にニコニコ笑顔を基本に、お客様の靴を揃えたり、服をハンガーにかけたり、帰り際にベッドを直したりといった小さな気配り」にこだわった接客を心掛けて、楽しく稼げていますよ。