聞き書き彼女たちのセックス
みんな、未明のページに遊びに来てくれてありがとう。このページではみんなと同じ「フツーの女の子」のセックス体験を、大げさに書くことなく、ありのままに伝えていきたいと思います。
ていうのもさ、女の子のセックスに関する記事って、女の子雑誌だとどーしてもファンシーになっちゃうし、おっさん雑誌だと馬鹿みたいにねじ曲げられて過激に作られちゃうじゃない。でもさ、私たちのセックスって、マスコミがあおるみたいにただ過激だったり、お金目当てだったりするわけじゃないよね。私たち女の子は、たとえ風俗で働いてたり、時にはすごくエッチになったりしても、自分のセックスに「切実さ」と「真剣さ」を抱えてるはずなんだ。
そのへんを私は描きたかったし、ここに登場してくれた女の子たちも、真剣に自分のセックスを語ってくれました。きっと、みんなに共感する部分があると思うので、ぜひぜひ楽しみに読んでください。

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 初めて沙夜加に会った時驚いた。グラビアモデルだと言われても、なんの不思議もない、甘くて可愛らしい顔立ち。おっぱいや腕に女の子らしい丁度いいふくらみがある、バランスのよいスタイル。色の白い体を仕立てのいい黒のワンピースに包み、首にはこれもまたいい細工だと一目でわかる金のネックレス。まるで音大にでも通うお嬢さんのようだ。
 心配になって、ヌードを撮らせて欲しいという話は納得していただいてますか? と聞くと、沙夜加は、はい、先に脱ぎますか? と、ためらいもなくするすると服を脱ぎ始めた。彼女の肌のきめは細かくて、細胞の間に蜂蜜が詰まっているよう。私は夢中でシャッターを切る。その合間に、彼女は恥ずかしいとくすくす笑う。私はなんだか彼女に恋をしかけようとする男のような気分になって、質問を浴びせはじめてしまった。彼女のことが知りたい。仕事のためだけじゃなくて、この子のことが知りたい。そんなふうに相手の心をそそるなにかが、沙夜加にはあった。

父の死をきっかけに壊れた家族
「私は、一人娘なんですよ。地元では結構大きな家で、お父さんは言ってみればお坊ちゃんで、お金持ちだった。でも私が7歳のとき、父が病気で他界したんです。それからです。母が介護疲れと寂しさで、ちょっと変な感じになっちゃった。もともと凄く仲のいい夫婦だったから、一人が耐えられなかったんだと思う。母がとにかく私を溺愛して、お外に出すのも嫌、という状況になっちゃった。10歳を過ぎた私にまだ母乳を飲ませようとするんです。いらっしゃい、って膝の上に乗せて、おっぱいをはだけて。もちろんもうおっぱいなんて出ないですよ。でも飲むふりをしないと怒る。そんな状態で。

 母は父が死んでしばらくしてから、福祉法人で働いていたんです。仕事はできる人だと思う。頭がよくて、美人で。しかも華やかなんです。だから母が家ではそんな状態だなんて、誰もわからなかったと思う。でも一度家の敷居をまたぐと、もう私にべったり。離れないんです。私もだんだん疲れてきちゃって。登校拒否になって。でも母は私が家にいたほうが嬉しかったみたい。何も言いませんでした。

 でも私はずっと辛かったんです。いつも母に赤ちゃん扱いされているうちに、『このままじゃ殺されてしまう』って気分に捕われるようになって。実際、よく私の首を絞めて『死のう』って言うんですよ。夜寝てると突然。母のことは狂ってるって思ってました。何度か警察に行きましたよ。11歳から14歳くらいまでの間に何度か。でも、母は外ではちゃんとしてますし、家だってお金に困っているような家じゃない。結局私の狂言だろう、みたいな扱いで、何もしてもらえなかった。これじゃ駄目だ。この家にこのままいたんじゃ殺される。そう思って、家出を何度か。でも子供だし、お金もないし、行くとこないじゃないですか。結局帰ってくることの繰り返しで。だんだん夜の町に出て行くことが多くなりました。そのほうが行く場所があったんです。男の人が声をかけてきて、泊めてくれたり、一緒に住もうって言ってくれたり。それから住込みで働いてもいいよ、なんて言ってもらえることもあったから」

「美しさ」という修羅
 一気にディープなところにまで進行してしまった彼女の身の上話に、私は戸惑ってしまった。何度も取材メモと沙夜加の顔を見比べてしまう。その顔は、そんなことを体験してきたとは思えないきれいさだった。けれどもそのきれいさゆえに、きっと話は本当なのだろう、と思わずにいられない。誰もが彼女に声をかけるだろう。抱き締めたいと思わずにはいられないだろう。女の私でさえもそんな気分になるのだ。彼女は生まれながらに「美しさ」という修羅を背負わされた子なのかもしれない。

「学校はじゃあ、ほとんど行ってないの?」と聞くと、「そうなんです」と頷く。小学校から高校までエスカレーターの私立に通っていたが、小学6年生の時、担任の先生に体を触られて怖い思いをし、学校が嫌になって中学の途中から行かなくなったのだという。

「だから、中学中退ってことになるのかな?」

 とてもそうとは思えない頭のよさと、人当たりの柔らかさだ。ずっとずっと、綿菓子みたいに、家族に大切にされてきたような雰囲気。お菓子のように甘い声で、笑顔を交えながら、ときどき首をかしげながら沙夜加は続ける。

14歳で29歳のホストと同棲
「最初一緒に暮らしたのは29歳のホストです。いかにもそれふうの、金髪のハンサムな人でした。私が14歳の時かな。女の扱いに慣れているって感じで、優しくて。だから怖くなかった。頭を撫でてもらうのが好きで、すぐに彼の1LDKのマンションで暮らすようになりました。

 彼は私が処女だってことをすごく楽しんでる感じで。週に一度、一本ずつ指を入れていくみたいなやり方で。だから処女貫通までに2ヶ月。8回くらいかけてされました。8回目は指が4本入るからもう入るねって言われて、彼のを入れられたんですけど、すごく痛かった。終わると彼は『これで大人になったね』って言って、ご機嫌で鼻歌歌いながらシャワーに行ったんです。早くさやもおいでって言うんですけど、なんだか悲しくて。風呂場の前の鏡で自分を見たら、涙が出てきました。こんなに痛いことしたのに、何も変わらない。抱かれたら幸せなのかと思っていたけど、ちっとも幸せじゃない、寂しい。悲しいって。でも、彼に髪を撫でてもらうのは好きだったので、まだ一緒にいたい、とは思いましたけど。

 でも彼は薬をやる人だったんです。だんだんラリって殴るようになって。その頃母が興信所使って私の居場所を見つけて。包丁を持って押し入ってきたんです。彼のマンションに。で、刺されそうになって、一度家に帰りました。でもまた母に刺されそうになって、夜の町に。彼のところだと見つかるから、今度は別の人のとこ。行くところだけはすぐに見つかりました。野宿なんてしたことなかった」

 しかし、地元の名古屋では母親に見つかることがだんだん多くなったので、沙夜加は17歳の時に上京する。14歳の時からこれまで、一緒に住んだ男性は20人くらい。

「東京でも、同じようにして、行くとこはすぐに見つかりました。なんて言うか、その晩だけでも私を見つめてくれる人がいるのは幸せって思ってたので。誘われるとすぐについて行った。でもイったことは、実を言うとないんです。優しくされるのが好きだから、セックスするだけ。セックスの時に首を絞められたり、バックで入れられてお尻をぶたれたり、殴られたりすると興奮するんですよ。それって母親にされてたことと関係するのかもしれないけど」

 自分のこと、客観的に分析してるね。そう言うと、「そうですね。なんでこんなになっちゃったんだろっていつも考えてましたから。それでだと思います」と、沙夜加は続ける。

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