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第39回 乳がんのセルフチェック
これまで中高年の病気というイメージだった乳がん。でも、実は若い女性が発症する可能性もある病気。「わたしは大丈夫」なんて思わず、早期発見のために、セルフチェックを行うことが大切です。
監修/赤枝恒雄(赤枝六本木診療所)
女性の30人に1人が発症
乳腺にできるがん
おっぱいにできる病気の中で、特に気をつけたいのが乳がん。乳腺にできる悪性の腫瘍で、30代から40代にかけて多く発症が見られます。中高年の病気というイメージですが、中には10代という若い女性の発症例もあります。近年では、女性の30人に1人は発症しているといわれ、20年前に比べ、乳がんで亡くなる女性が倍増しています。
はっきりとした原因は解明されていませんが、近年増加傾向にあることから、乳製品を多く摂取する食生活が原因ともいわれています。
がんが小さいうちに手術を行えば、治癒する確率は高いため、何よりも早期発見が大切。そのためには、セルフチェックや医師による検診を定期的に行いましょう。
こんな人が乳がんにかかりやすい!
以下のような特徴を持つ人に、乳がん率が高いといわれています。下の項目に当てはまる項目がある人は要注意。ただし、これらの条件にまったく当てはまらない人がかかる場合もあるため、安心は禁物です。
□40歳以上で出産経験がない人
□高タンパク、高塩分の食事を摂り過ぎる人
□肥満体形
□血縁に乳がん発症者がいる人
セルフチェックで早期発見を!
乳がんは、自分で発見できる病気。まめにセルフチェックを行うことが、早期発見につながります。とても簡単なので、最低でも月1回はチェックをする習慣を今からつけておきましょう。ただし、おっぱいが張る生理前に行うのはNGです。
((セルフチェックの方法))
チェック法?鏡でチェック
1.上半身裸になり、鏡に向かって両手をバンザイする
2.両手の上げ下げを繰り返し、正面、横向きの両方から確認する
CHECK POINT
●おっぱいの形や大きさに変化はないか
●左右対称に同じ動きをするかどうか
●くぼみ、ひきつれ、盛り上がりがないか
●乳首にひきつれやただれがないか
チェック法?さわってチェック
1.4本の指で、乳首を中心に円を描くように触る
2.外側から内側に向かって、横方向に触る
3.脇の下や、肩につながるラインもチェック
4.乳首を軽くつまんで、分泌液が出ていないか確認
CHECK POINT
●指先にパチンコ玉を触っているような、コロコロとした感触はないか
●脇の下や肩につながるラインが腫れていないか
●乳首から黄色っぽい分泌液が出ていないか
★毎日行う簡単チェック★
シャワーを浴びたときに、せっけんをつけた手で触ってみる、ブラジャーを外したときにカップの裏側を見て、シミがついていないかを確認するなど、簡単なチェックを毎日行うのも大切
そのしこりは乳がんじゃない!?
まずは病院で検査を!
しこりを見つけたからといって、必ずしも乳がんとは限りません。まずは病院(乳腺外科)で検査を受けて、乳がんかどうかを確かめることが必要。
(乳腺症)
おっぱいにできる良性のしこり。乳首から分泌液が出るなど、乳がんに似た症状で間違いやすい
(乳腺線維腺腫)
ホルモンの過剰反応により生じるしこり。小さいものであれば問題ないが、大きさによっては切除することも
年に一度は検診へ!
病院での検診方法は?
セルフチェックで異常を感じたら、早めに乳腺外科へ。また特に自分で変化を感じなくても、30歳を過ぎたら年に一度は乳がん検診を受けることをオススメします。おもな検診方法は下記の3通り。
?触診…医師が直接おっぱいに触り、しこりを調べる。複数の検査と併用することも
?超音波検査…超音波の跳ね返りの差で、おっぱいの内部を調べる
?マンモグラフィ…5mm以下の乳がんを調べることのできる精度の高いレントゲン
★乳がんを見つけたら……
乳がんの治療は、しこりとその周辺を摘出する手術が基本。しこりの大きさや状態により、摘出範囲や治療法が異なります。
乳がんの手術というと、乳房をほとんど切り取ってしまうイメージがあるかもしれませんが、初期の段階であれば、しこりだけを取り除いて乳房を残すことも可能です。
おっぱいを失うのは、女性にとって大変ショックなこと。身体への負担を最小限に抑え、完治を目指すには、やはり乳がんの早期発見が重要です。
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産婦人科医
赤枝 恒雄 - 1944年生まれ。東京医科大学卒、医学博士。1977年、赤枝六本木診療所を開業。六本木での「街角健康相談室」やラジオパーソナリティなど、活動は多岐にわたる。女のコの身体の悩みをQ&A方式でまとめた『これってヘン?』(小社刊)が好評発売中。
- 妊娠しているわけでもないのに、乳首から白っぽい分泌液が出ることがあります。これは何かの病気によるものでしょうか。
- 寝不足やストレスなどが原因で排卵が止まると、母乳のような白い分泌液が出ることがあります。生活習慣を改善することで止まりますから、心配はありません。ただし、黄色がかった分泌液が見られたら要注意! 乳がんの可能性が考えられるため、一度病院で検査を受けてください。
イラスト/トシダナルホ