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第41回 ギャンブル依存症
わかっているけどやめられない! これは典型的な依存症の症状。ストレス発散のために始めたことが、新たな悩みのタネに……。これは誰もがかかりうる、心の病気です。
監修/榎本稔(榎本クリニック)
気分転換のはずがストレスに……!?
やめられない「ギャンブル依存症」
女性でも、パチンコや競馬といったギャンブルを楽しむ人が増えています。ペースや使う金額をわきまえて行う分には、いい気分転換になるでしょう。しかし、ギャンブルによって借金を抱えたり、仕事や人間関係に悪影響を及ぼすほどのめり込んでしまうのは大問題。このように自分をコントロールできず、ギャンブルをやめたいのにやめられない状態に陥ってしまうのが「ギャンブル依存症」です。
ストレス発散のために始めたことが、新たなストレスを生じさせる原因になってしまうにもかかわらず、状況を自分できちんと理解することができなくなるのです。莫大な借金を背負った頃になって、初めて自分のしていたことに気づく……という恐ろしいケースも。
初めてのギャンブルでいきなり大当たりする「ビギナーズラック」がきっかけで、大当たりした快感が忘れられず、依存症に陥る人も多いといわれています。
また、ギャンブル依存症は本人だけでなく、家族にまで影響が。心労がたたって、家族が頭痛、不眠、胃痛などの症状を引き起こしてしまうことも少なくありません。本人には依存症の自覚がなく、家族が先に病院にかかってしまうということも……。
日常のストレスが原因に!?
依存症に陥りやすいタイプとは
このような依存症に陥ってしまう原因は、人間関係や仕事など、日常生活の中で生じた強い精神的ストレス。ギャンブルで興奮しているときは「β(ベータ)エンドルフィン」という、痛みを和らげたり、快感、恍惚(こうこつ)感を与えるといった効果を持つ脳内物質が分泌されます。そのため、不安、寂しさ、怒り、悲しみといったストレスを押さえ込む、一時的に忘れる手段としてギャンブルを続けてしまうのです。
抱えているストレスが大きければ大きいほど、依存の度合いも重さを増してしまいます。そのため、依存の原因となったストレスを根本から取り除かなければ、ギャンブル依存症を断ち切ることが難しいといえます。
●「ギャンブル依存症」に陥りやすいタイプ●
大きなストレスを抱えている人なら、きっかけ次第で誰しもギャンブル依存症に陥る可能性はあります。そして、以下のような性格に当てはまる人が、依存症になりやすいタイプといわれています。
□常に刺激を求めている
□人付き合いが苦手で内向的
□きちょうめんでまじめ
□趣味に乏しい
「わかってるけど、やめられない」
そんなアナタは要チェック!
頻繁にギャンブルを楽しんでいるという人は、知らないうちにギャンブル依存症にかかっているかも!? 下記のチェックで確認してみましょう。
□常にギャンブルのことが頭から離れない
□ギャンブルを始めると、見境なくお金を注ぎ込んでしまう
□ギャンブルのために借金をしたことがある
□ギャンブルをしていることはまわりに内緒だ
□ギャンブルをやめようとするとイライラする
□ギャンブルで損をすると、すぐに取り返しに行く
□過去にギャンブルをやめようとして失敗した
□ギャンブルが原因で、仕事や人間関係に悪影響を及ぼしたことがある
□イヤなことを忘れるためにギャンブルをしている
●0~2コ
今のところは大丈夫。自分のペースを守ってギャンブルを楽しめればOK。
●3~5コ
依存傾向が強い様子。もう一度、ギャンブルとのつき合い方を改めること。
●6コ以上
ギャンブル依存症の可能性がかなり高め。専門の病院やクリニックでカウンセリング、治療を受けてみては?
自分ひとりで苦しまないで!
まわりに協力を求めることも大切
ギャンブル依存症の人が、自分の意志できっぱりギャンブルをやめるのは大変難しいことです。早期完治を目指すためにも、心療内科や精神科といった専門の病院やクリニックでしっかりとした治療を受けることが必要。自分だけで何とかしようと思わずに、友人や家族、医師など、さまざまな人に協力を求めることも大切です。
病院では、カウンセリングやグループ治療、抗うつ剤の投薬治療など、症状に合った治療を進めていきます。
★ストレスに負けないために……
依存症など、心の病を引き起こす原因となるストレス。自分でストレスをコントロールすることができれば、恐れることはありません。まずは下記のような生活習慣を心掛けて、ストレスに負けない心と身体づくりを目指しましょう!
・自分のペースを守り、無理はしない
・きちんと休息、睡眠をとる
・行動パターンに変化をつける
・完璧主義は捨てる
・何でも話せる人をつくる
・時間を有効に使う
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心療内科医
榎本 稔 - 1月11日生まれ。東京医科歯科大学医学部卒、医学博士。日本外来精神医療学会理事長。成増厚生病院副院長、東京工業大学保健管理センター教授を経て、榎本クリニックを開業。 榎本クリニック/電話 03(3982)5321
- スロットにハマッていて、お店に頻繁に通ってしまいます。これって、もしかしたらギャンブル依存症なんでしょうか……?
- 自分のギャンブルに対する行動をコントロールすることができない人が、ギャンブル依存症です。典型的な例として、ギャンブルをしたいがために仕事をさぼったり、生活費を注ぎ込んだり、ギャンブルのために借金をすることなどが挙げられます。自分のペースを守って楽しんでいる分には問題ありません。もし不安なら、一度クリニックにご相談ください。
イラスト/トシダナルホ