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第71回 肌のかゆみ
すねや腕、腰などがカサカサしてかゆい……。ポリポリかいているとますますかゆみは増し、かいているうちに気がつくと血がにじんでいたり。こうした寒い時季のかゆみの原因は乾燥。今回は“乾燥によるかゆみ„に注目してみました。
監修/戸佐眞弓(まゆみクリニック)
●かゆみの原因
寒い時季に起こる肌のかゆみの原因は大半が乾燥。とはいえ、中には皮膚病や深刻な病気が隠れている場合もあるので、それぞれのかゆみの特徴を知っておきましょう。
【皮膚の病気が原因のかゆみ】
ダニやシラミなど寄生虫によるものや、虫さされ、じんましん、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎が原因となるものは、かゆみとともに必ず発疹(ほっしん)が現れます。
【全身性の病気が原因のかゆみ】
肝臓病、腎不全、白血病、甲状腺の病気、糖尿病といった深刻な病気がかゆみを引き起こすこともあります。ただし、このようなケースでは発疹は伴いません。
【乾燥が原因のかゆみ】
寒さが強まり空気の乾燥が激しくなる冬の時季に、年齢・性別を問わず多く見られます。
●寒くなると肌がかゆくなるのは、なぜ?
冬の空気は乾燥しています。乾燥すると、皮膚の表面から水分が蒸発し、肌の潤いが失われやすい状態に陥ります。
乾燥知らずの肌
肌の表面に近い角質層において保湿因子(アミノ酸)や脂質(セラミド)が水分を保ち、その上から皮脂膜が肌の表面をしっかり覆って水分の蒸発を防いでいる状態。
乾燥した肌
角質層の脂質や水分が失われることで細胞間にすき間ができ、外からの刺激を受けやすい状態。本来なら肌の奥まった部分にある、かゆみを感じる神経が表面にまで達し、ダイレクトに外からの刺激を受けるため、健康な状態の肌に比べてかゆみを感じやすくなります。
●身体の「洗い過ぎ」に注意
入浴やシャワーで、毎日せっけんで身体を洗っていませんか?
実はこれも肌の乾燥を招く原因の一つです。冬場は毎日せっけんで身体を洗う必要はありません。特にバスタブ派なら、せっけんの出番は少なくてOK。お湯につかるだけで汚れの大半は落ちるので、皮脂分泌の多い、背中や胸の中心、手足など汚れやすい場所は毎日せっけんを使い、そのほかは週に2~3回の使用で十分です。また、せっけんを使う際は、ボディブラシでゴシゴシこすらず、なるべく刺激の少ない綿などの素材でなでるように洗いましょう。
かゆみ予防
入浴後は保湿剤を忘れずに
ドラッグストアなどで市販されている尿素やワセリン、セラミドが配合された保湿剤を、入浴直後、乾燥が気になる部位に塗りましょう。
エアコンを使うときは必ず加湿を!
エアコンは、乾燥を促進させます。加湿器を置くか、室内に洗濯物を干すなど、常に加湿を心がけて乾燥予防を。
「疲れた~」という日は、早めにベッドへ
肌の新陳代謝を促すには十分な睡眠が必要です。特に疲れやストレスが激しいときは、しっかり食べて、いつもより早めに寝ることを心がけましょう。
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形成外科・皮膚科医
戸佐 眞弓 - 11月3日生まれ。東京女子医科大学卒、医学博士。東京女子医科大学 形成外科学教室、帝京大学医学部附属病院 皮膚科学教室を経て、まゆみクリニックを開業。専門は、ピーリング、レーザー治療、脱毛レーザー、スキンケア。
- 身体に塗る保湿剤を購入しようと思っているのですが、香りのあるものは避けたほうがいいでしょうか?
- すでにかゆみがあるようでしたら、無香料・無着色のものがいいと思います。ただ、現時点でかゆみがなく、肌にトラブルがないようでしたら、リラックス効果や鎮静効果のある、天然のカモミールやユーカリなどが配合されたボディクリームもおすすめです。
イラスト/トシダナルホ