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セフレは友だち(2/2)

「ホメ」られて信頼すると
お客は繰り返し指名する

水商売であれなんであれ、客商売では普遍的に通用する「ホメ」もあれば、風俗業界特有の「ホメ」もあって、案外言われないと気づけないものだったりします。

わかりやすい例を挙げてみましょう。私が風俗ライターになって間もない頃に会ったヘルス嬢がいます。この時は座談会に出てもらったのですが、彼女は「セフレが欲しい」とずっと言ってました。セックスが大好きなのです。

それから数年後のことです。人妻ヘルス店を体験取材したら、どこかで見たことがあるコが出てきました。「あれ、どっかで会ったことないか?」とシャワーを浴びながら聞きました。

「やっぱり。私もそう思っていたんですよ。座談会に出た時のライターさんじゃないですか?」

あの時のヘルス嬢だったのです。

「おー、思い出したよ。結婚したんだ」
「あれからすぐに店はやめて、今は子どももいますよ。でも、風俗が忘れられなくて、復活しちゃいました」
「セックスが大好きだもんな」
「そうそう。よく覚えてますね」
「セフレが欲しいって連呼していたからね」
「今も欲しいですよ」
「まだできないんだ」
「できたこともあるけど、セフレって長続きしないんですよね。どうしてですか」

答えは簡単です。セフレはセックスをする友だちです。ところが、友だちという側面を忘れがちで、ここをないがしろにすると長続きしないのです。

友だちだったら約束を守るし、時には恋人や配偶者よりも優先するってもの。それがないと信頼関係はできず、そもそも友だちにはなれません。いかに肉体的な相性がよかろうとも、セフレもフレンドである以上、信頼関係が必要なのです。時には恋愛感情に近いものがあってもよくて、恋愛にある独占的な拘束や嫉妬はしてはならないだけのこと。

そのことを客自身が自覚できにくいだけで、風俗店に男たちが通うのは、この信頼関係が成立しているからであり、それがないと繰り返し指名なんてするはずがない。

それを支えるのが「ホメ」の技術なのです。我ながらわかりやすいな。

プロフィール
文 = まつざわくれいち/1958年生まれ。『エロスの原風景』(ポット出版)、『風俗お作法』(小社)など著書多数。 イラスト = 友沢ミミヨ

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