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自分の評価としての恋愛 (2/2)

浮気を我慢しているのでなく、浮気できるくらいにモテる存在であって欲しく、モテない男とつきあっているのでは、自分の評価が落ちてしまうわけです。

かといって、自分より浮気相手を優先すると、これまた自分の評価が落ちますから、自分はナンバーワンの地位を得ていることが絶対条件です。

既婚男性が浮気する場合、「妻の地位を確保する」という鉄則があって、「浮気相手とは朝まで一緒にいない。寝るのは自宅」
「浮気相手とのセックス回数を超えるセックスを妻とする」といったルールを守っている限り、家庭は壊れないなんてことを言う人たちがいます。
理にかなっているわけですね。

昔から、「女は押せば落ちる」と言いたがる男がいます。
相手が迷惑がっても、押して押して根負けしてセックスをさせてくれても嬉しい。

これが通用する女性も実在します。
こういった女性にとっては「そこまで自分を好いてくれている男がいる」ってことが大事です。
それこそが自分の評価ですから、互いの求めるものが一致しています。

そこまでされる私が好き

男の多くは理解できないことなのですが、世の中には、ストーカーにつきまとわれた末に、ストーカーとつきあう女性がいます。
これも同じ心理でしょう。

女たちがプレゼントをされることが好きだったり、家中をバラの花束で埋め尽くされて、歯の浮くような愛情表現が好きなのも同じです。
「そこまでしてくれる男が好き」というより、「そこまでしてもらえる私が好き」ってことだったりする。

 男性の多くは、相手が金のためであっても、自分の好きなタイプとセックスできれば幸せです。
そりゃあ、相手が好いてくれていた方がいいに決まっているにしても。
だから、風俗店が成立する。

対して、女性の多くは、相手が金のためにセックスをしてくれたとしても、満足度は低い。
だから、女性向けの風俗産業は成立しにくいのですね。

  続きます。

プロフィール
文 = まつざわくれいち/1958年生まれ。『エロスの原風景』(ポット出版)、『風俗お作法』(小社)など著書多数。 イラスト = 友沢ミミヨ

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