松沢呉一の店外講習
風俗取材に携わって10余年。ひたすら「エロ街道」を歩き続ける著者が、お店スタッフや女の子との交流を重ねて得た、風俗業に関するさまざまな知見をここに開陳。今回取り上げるのは、男心を萎えさせる「下手なセリフ」。前回の「きわどいセリフ」の逆バージョンです。

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この質問をしたコはこんなことも言っていた。
「どこか褒めなきゃと思って、どんな小さいチ×コの人にも“すっごいチ×コが大きい。こんな大きいのを見たのは初めて”と言っていて、どうもリピーターにならないので、失敗したかもしれないと思って、言うのはやめた」
こりゃ明らかに失敗だろ。
「相手を見て言え」と私は叱責。
「だって、松沢さんがなんでも褒めろって本に書いていたじゃないですか」
たしかに『風俗ゼミナール/女の子編』にそのようなことを書いている。
「いやいや、褒めるところがなかったら、鎖骨でも褒めろという話は書いたけど、小さいチ×コを大きいと言うのはマズいだろ」
あの原稿には思ってもいないことを言うのはウソになるとも書いていたハズだ。自分で気づいた相手のいいところを照れずにためらいなく褒めてあげればよくて、思っていないことや現実とまったく違うことを言って、相手が「オレのチ×コのどこが大きいのか言ってみろ」って怒り出したら、言い逃れしようもない。
「他に褒め方があるじゃないか。“形がきれいですね”とか、“角度がすごいですね”とか。でも、小さいことを悩んでいる人には何を言ってもイヤミに思われるかもしれないから、チ×コには一切触れない方がいいかもしれないよ」と私はアドバイスした。
「小さいと悩んでいる人だから、“大きい”と言われたら嬉しいんじゃないの? しかも、私たちみたいにたくさんチ×コを見ている女のコに言われたら、“そうかな”って思わないのかな」
「思わないって。身長150センチの人は自分の背が低いとわかっているんだから、“こんな背が高い人、初めて見た”って言われたら、明らかにイヤミ、あてつけの類だろ。それと一緒」
あるいはAカップのコに「こんな巨乳は初めて見た」と言ったら、ほとんどのコはムッとするだろう。かりにオッパイについて触れるのであれば、「いい形をしているね」とか「乳首がきれいな色をしているね」とか、他に言いようがあるってものだ。
店長も私に続いた。
「身長とかチ×コの大きさって、男にとっては決定的なコンプレックスになる箇所だから、小さい人はほとんど小さいってわかっているよね。それで勇気がなくて彼女ができなくて、風俗に来ている人だって多いんだから、それは言っちゃマズいよね」
「えーっ、ショック」と彼女。
あれだけ男に接していても、こういう話って、オープンに語り合わないと、なかなかわからないものである。各店舗の皆さんも、こういうミーティングを開いてみるといいかも。
なお、このミーティングでは、誤解されかねないことを言う場合には「いい意味で」とつけるといいという話も出ていた。単に「老けている」というよりも、「いい意味で歳より上に見えますね、落ち着いていて」なんて言うわけだ。でもなあ、「いい意味で、チ×コが小さいですね」って言ってもなあ。

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