風俗取材に携わって10余年。ひたすら「エロ街道」を歩き続ける著者が、お店スタッフや女の子との交流を重ねて得た、風俗業に関するさまざまな知見をここに開陳。前回に引き続き、営業メールが苦手なヘルス嬢・さくらちゃんとのやりとりを中心にお届けします。
いつもこちらからメールして、あちらは返事をくれるだけのコがいて、こっちとしてはいささかの寂しさを感じていたのだが、ある時彼女はこう聞いていた。
「メールを松沢さんに送りたいと思うんだけど、そっちの事情がわからないから、迷惑じゃないかと思って送れなかったんですよ」
人によっては迷惑なこともあろうが、私の場合は24時間大丈夫だと説明して、以来、時々あちらからも送ってくるようになった。
「電話よりメールがいいのは、それほど時間を食われないのと、無視できることだよね。電話だと、ウザいと思いつつ、つい出たりするけど、メールだと無視していいからね。女のコらとしても、返事が来ない相手はどんどん切っていけばいい」
「ウザい相手もいるんだ」
「たまにね。こっちは興味がないのに、あっちが積極的で“アドレスを教えてください”と言ってきて、頻繁にメールを送ってきて、ウザくなることもあるけど、無視すればいいだけなので、電話に比べれば害はないよね」
「ああ、そうか、私もやってみよ」
なんてことをさくらちゃんに講義したんだが、肝心なことを教えるのを忘れていた。彼女はほっとくと、相手を選ばずついエロメールを出してしまいそう。
後日会った時に再度メールの話になった。
「やっぱり私はメールはしない方がいいかもしれない」
「まあな、“マンナメしに来て”って書いちゃいそうだからな」
「最近ね。そういう言葉に気をつけなきゃいけないってことがよーくわかった」
彼女はよく合コンに出ているのだが、いつもあまりモテない。ルックスは悪くなく、幼い雰囲気がありつつも、オッパイは大きい。このタイプが受ける層は確実にあって、5人いれば2人くらいは彼女にアプローチしてもよさそうだ。
「それがね、この間、下ネタを言わない方がいいかもしれないと思って、初めて下ネタを言わずに静かにしていたんですよ。そしたら、みんなに連絡先を聞かれて、翌日から“また会ってください”って誘いが次々と来たんですよ。合コンでこんなモテたの初めてですよ。今までは合コンで下ネタを言うと盛り上がるから、調子に乗って言っていたんだけど、ああいう場で下ネタを言うとモテなくなるってことがよくわかった」
たしかに場を盛り上げる存在としては重宝されるが、つきあう対象、恋愛の対象にはなりにくい。男の中にははっきり「エロ話をする女は嫌い」というのがいるくらいだ。
「そうなんですよ。女のコたちも私には“もっと話して”って煽っていたんだけど、あれって盛り立て役を私に任せて、自分は下ネタを言わない女として、虎視眈々と男のコたちを狙っていたんでしょうね」
このコはたしか23歳だと思うが、23年生きてきて気づくことではない気もする。
「下ネタを言うだけで退くような男はどうかと思うけど、とりあえず、男をゲットするために、下ネタは言わないようにしようって心に決めましたよ」
私自身の失敗談。今まで何度も遊びに行っているヘルスのコからメールがあった。前々から「ソープに移るかもしれない」と聞いていて、「移ったら連絡しろよ」と言っていたので、律儀に連絡をくれ、「いらしてね」なんて吉原の高級店の店名やその店での新しい名前を書いてくれている。
そこで私は「じゃあ、ハメに行くか」と返事を出した。これまで彼女とはハメたことがないから、ハメるのが楽しみである。
そしたら、彼女から「そんな言い方しなくても(泣)」と返事。普段は何言ってもへっちゃらなコで、彼女自身、エロいことをよく言っているのだが、店を移ってすぐ、業種を変わってすぐは不安もあって、なのに「ハメに行くか」ってデリカシーなさすぎ。もう少し彼女の気持ちを考えて、「君に会えるならどこにでも行くよ」なんて書けばよかったと反省した。
乙女心はオヤジにだけではなく、若い小娘にもあるのだ。って当たり前。
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