お金のトラブル相談室-第5回-
彼の別れた奥さんから、財産を分けて欲しいと言われた。
離婚して1年も経つのに、分けなくてはいけないの?
バツイチの彼が、前の奥さんにマンションや土地などの財産を分けてほしいと言われて困っています。離婚したのは1年前で、彼女の事情で協議離婚したのですが、その際には財産のことは話し合わなかったそうです。 彼女のほうから言い出して別れて、しかも1年も経っているのに、彼は財産を分けなくてはいけないのでしょうか。将来、結婚して彼のマンションに一緒に住むつもりでいるので、マンションが彼女の持ち物になったりするのには、納得がいきません。
離婚に伴う財産分与請求は離婚後2年まで有効
財産のことを話し合わずに離婚し、その後財産分与の協議をすることはできます。しかし、離婚後2年以内にしなければなりません。
離婚に伴う財産分与は、離婚がいずれの原因によるものか、いずれから離婚の申し出があったかにかかわらず、婚姻中に形成された夫婦の財産がある場合に、これを分与(分配)して精算しようとするものです。相手に原因があって、離婚せざるを得なかったという事情は、額を算定する場合の考慮事情になります。
このケースでは離婚後2年以内ですから、マンションや土地などの財産が婚姻中に相手の協力によって形成されたものであれば、当然分与の協議をすべきことになります。
分与の対象にならない財産
次のような財産は、財産分与の対象になりません。 ・婚姻前から所有していた財産 これは婚姻後に相手の協力によって取得したものではないからです。 ・親からの相続で取得した財産 これは、婚姻中に取得した財産であっても、相手の協力によって取得した財産ではないからです。 離婚に伴う財産分与の基準は、マンションや土地などの財産を取得する際に、特別に頭金を負担したなどということがあれば、これを考慮します。特別の事情がなければ、協力の程度は半分ずつということになります。 借金があれば、分与後、誰がこれを負担するかも考慮します。また、離婚の原因が相手の不倫行為など、慰謝料の対象となるような事情があれば、これも考慮することができます。 以上のような諸事情一切を考慮して、分与すべきか、分与するとしたらいくらにするかを話し合うことになります。当事者同士で協議ができないときは、家庭裁判所に調停の申し立てを行います。
離婚後2年以内であり、前の奥さんが彼と協力して築いた財産についてであれば、前の奥さんは財産分与を求めることができます。その際、分与額の算定に当たっては、離婚の原因も考慮事情とされます。