お金のトラブル相談室-第6回-
父親が生活費を家に入れてくれない。
生活費を扶養料として父親に請求できるのでしょうか?
単身赴任中の父親が、1、2ヵ月ぐらい前から自分の給料の口座を勝手に変え、給料を自分だけで使いだしました。どうやら愛人がいるらしく、その彼女との生活費にしているようなのです。
現在は、母親と私の生活費を母親のパート代でまかなっていますが、今私が家を出て一人暮らしをした場合、その時の生活費を扶養料として父親に対し請求することはできるのでしょうか? また、残された母親に対して父親が生活費を支払うようにするには、娘としてどうすればいいのでしょうか。
母親は父を恐れており、ただ耐えているだけで、いくら言っても自分からは何もしようとはしません。原因は父の暴力にあるのではないか? と思うのですが、父は私の前では母親に対して何もしないので、そのことは追及できません。身勝手な父と耐えるだけの母に挟まれて、もう限界です。
直径血族には互いに扶養義務がある
父と子との関係のような直系血族には、互いに扶養義務があります。お父さんは、子供であるあなたに対し、あなたが生活に困るような事情があれば、扶養料を支払うのは当然ということになります。
あなたは、まだ未成年者ですから、お父さんの親権に服しています。お父さんが居所指定権(民法821条)に基づいて、あなたの一人暮らしを認めないこともあり得ます。この場合は、あなたが一人暮らしをすることから必要になる扶養料は払わないということも考えられます。
お母さんは、お父さんと婚姻しているわけですから、婚姻費用として生活費の支払いをお父さんに求めることができます。
母親が働いて生活がまかなえていると、生活費を請求できない
問題は、現在お母さんはパート代で生活費をまかなっているということです。
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない(民法752条)のですから、お母さんが生活費に困っているなら、お父さんがこれを負担する義務が出てきますが、お母さんが自分で働いて十分に生活をまかなえるのでれば、当然には生活費を請求することはできないでしょう。お父さんに愛人がいることや暴力を振るうということとは無関係です。これは離婚原因にするか、その場合に慰謝料を請求するか、に関係する問題です。
当事者間で、冷静な話し合いができない時は、家庭裁判所に調停を申し立てます。あなたの調停も同時に申し立てるとよいでしょう。1件の申立費は900円です。
夫の収入・支出と妻の収入・支出を勘案して、妥当な金額が家庭裁判所から決定されます。婚姻費用は、結婚している限り継続されます。
お母さんは婚姻費用としてお父さんに対して生活費の支払いを求めることができます。ただし、お母さんの収入が生活をまかなえるのであれば、請求はできないでしょう。
お父さんは未成年の娘のために扶養(養育)費を負担する義務はありますが、勝手に一人暮らしをして、その生活費を支払えということはできないと考えられます。