お金のトラブル相談室-第7回-
ダンプカーにドロをハネられた。
クリーニング代などの損害を請求できるのでしょうか?
私は仕事先のクラブに通うのにバスを利用しています。雨上がりに停留所でバスを待っていたところ、その前を大型ダンプがスピードも緩めずに通り過ぎ、頭の上からドロ水をかけられました。私がその日着ていた服は仕事用の衣装で、新品でした。値段もそれなりに高額なものでした。
このようなトラブルの場合、服のクリーニング代などの弁償を請求できますか?また、そのほかにどんな損害を請求できるのでしょうか。できるとすれば誰にできるのでしょうか。
運転手には「注意義務」がある
車輌などの運転手は、ぬかるみまたは水たまりを通行するとき、徐行するなどして、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにしなければなりません(道路交通法71条1号に規定)。これに違反しますと、運転手は同法102条1項9号で5万円以下の罰金に処せられます。
また、車輌の運転手には、走行にあたり通行人にドロ水をかけないように運転する注意義務がありますので、民事上も不法行為責任(民法709条)として、運転手はあなたが受けた損害に対して賠償をしなければならないことになります。
「損害賠償」は請求できるが「慰謝料」は難しい
損害賠償として請求できるものに、衣装のクリーニング代が入ることは当然です。しかし問題は、衣装が、クリーニングをしても元に戻らない状態になり、仕事用としては使用できなくなったときに、新品の衣装と取り換えることを求めることができるかです。これも損害に対する賠償としてできるといえるでしょう。
次に、衣装をクリーニングに出さなければならなくなったので、その日は仕事も休まなければならかったような場合、休業損害はどうかということですが、ご安心ください。これは、休業損害として相手に請求できると考えられます。
そして、慰謝料はどうかですが、クリーニング代、休業損害が認められ、財産的損害が賠償されれば、慰謝料を請求するのは難しいのではないかと考えます。
請求は運転手以外にもできる
これを請求できる相手としては、まずダンプカーの運転手に対してできるのは当然です。
運転手が会社などに雇われている場合は、使用者として会社も責任を負担することになります。民法715条の使用者責任です。
もっとも、請求できるといっても、ダンプカーの運転手の身元がわかっている場合ですから、素早くダンプカーの登録番号などを控えて、陸運局に行って車の持ち主を調べることが必要です。
道路交通法により処罰の対象となるほか、民法709条の不法行為責任として損害賠償を請求できます。損害賠償請求は、運転手およびその使用者に対してできます。