レディコミ人生劇場
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第13回『暴走愛』の巻
狂ったような暑さだった今年の夏も、さよならの頃になると惜しい気持ちになるから不思議なもの。これから人恋しい季節に一直線ですね。

 けれどレディコミの世界は、1年中常夏です!今月はレディコミ界の重鎮にして、劇画界などなどでもずっと実力派として君臨し続けていらした、川崎美枝子先生の『暴走愛』を紹介します。川崎先生ってばねー、これだけキャリアが長いのに、絵が全然古くならないから凄いの! でもってデッサン力の確かさといったら業界でも五指に入るのでは…というお力。エロシーンの連続でも作品がもってしまうのは、一重にその画力のせいなのですよね。しかも日本人の体型を完璧にマスターしていらっしゃるが故に、そのセクシーシーンの淫らなこと…!「あ、日本人のおっぱいってこうよね。こういうポーズのとき、確かにここに皺ができるわよね」って感じで、すごくリアルに主人公のエッチ体験に没入できるのです。

 さて今回の『暴走愛』は主人公の劇団員「路子」とその恋人「高行」の、愛の冒険の物語。2人はちょっとした倦怠期を迎えているんだけど、そんな時路子がもらした「女って心の底ではレイプされたいのよ」のひと言に、高行がとんでもないことを考えるの。それは路子を友達と組んでレイプしてしまうこと!

 まずは路子を拉致した高行。その体の自由を奪った状態で、劇団員の他の女とのセックスを見せつける。それを見て嫉妬に苦しみつつも感じてしまう路子。もちろん高行の攻めはそんなことでは終わらず、何人もの仲間の男たちに、路子のことを犯させまくるの! 中でも私が感じてしまったのはね、路子のあそこに何本もの手が伸びて、かき混ぜたり突っ込んだり、クチュクチュと意地繰りまくってしまうシーン!「あああ、もしこんな風にいじくられちゃったらアタシだって…」とあそこがグチュンと来てしまいました。
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さらに路子は恋人の高行からアナルを、他の男からヴァギナを同時に攻められたり、アナルに差されたまま、他の男にクンニ責めにあったり…と、気も狂わんばかりの攻めに!

いやー、話しはそれだけなんだけどさ、こんなふうな、『生命の危険のない、気持ちのいいレイプなら、女って誰でもされたいよね』というセリフに妙に納得。川崎先生、女の本音を知っていらっしゃいますわ~。(そのへんは拙著『突撃! 自衛隊』(新潮社)の「やっぱり女は馬鹿だった」に詳しく載ってるので見てね! 今週号の「週刊文春」で福田和也先生に褒めてもらってるんだよーん。

 無駄なストーリーなんて一切無い中で、タップリ『気持ちいいレイプ』を楽しんだらラストで恋人から愛の告白。「だっておまえを愛してるから、気持ち良くしてやりたいんだ」ーーーって、うらやましーーーーーー!路子も「こんな男、手放せるわけないじゃない!」っていうんだけどさ。誰だってそうよ! つまんない独占欲で縛られることなんかより、よりたくさんの快楽をくれる男を今時の女は望んでる。その辺を衒いなく書いてくれる、川崎先生、最高! みんなも是非レディコミ読んで、自分の本音と対話見してほしい。自分の本音がわかんないのに、幸せになれるはずもないんだからさ。いまどきはフェミニズムが横行して、女の子が自分の本音さえ素直に認められない時代。それじゃつまんないから、レディコミ読んで「あ、みんなもこうなんだ。なーんだ」なんて思ってほしいんだな。人間「お互いの人格を認め合い傷つけ合うことなく」生きることなんて望んでないよ! 女は欲情され精神的にレイプをされ、気持ちよくなって理不尽な愛に縛られていたいんだよ。少なくとも私はそう。そういう意味で、やっぱレディコミって貴重だな、と改めてレディコミへの愛を再認識してしまった未明なのでした。
 
 みんなは、冷えやすい季節だから体に気をつけてね。あたしのカレは未明のプレゼントしたハラマキ巻いて、毎日のんびりしています。そんなオトコの寝顔見ているのが、目下一番のし、あ、わ、せ。 幸せって、実は出世やお金じゃなくて、うんと近い所にころがっているんじゃないかなあ。
■さかもと未明
OLから漫画家へ。レディースコミック、エッセイ等各誌で連載を持ち、最近「文學界」で小説デビューも果たす。著作は「ゆるゆる」(マガジンハウス刊)「だって幸せになりたいんだもん」(朝日ソノラマ刊)等多数ありのスーパーお姐さん。