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法的トラブル相談室-第25回-

法的トラブル
お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!

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質問
買ったのと違うものが届いたのに、
「交換できない」なんてアリ?
イラスト

インテリアショップで食器棚を買い、自宅に配送を頼みました。でも、届いた食器棚をよくよく見たら、私が頼んだものじゃない! よく似てるけど、引き出しの数や棚の配置が少し違うんです。すぐ店に電話して事情を説明したんですが、「交換はできない」と言われてビックリ! 伝票を調べると、私が注文したのは間違いなくこの食器棚で、私のサインもあるから、って言うんです。でも私は店で食器棚を見て、店員さんに「これください」って頼んだだけ。たしかにサインをしたけど、普通、店員さんが書いた型番までチェックしませんよね?違う食器棚が届いたのは私のせい? 交換は無理ですか?

(24歳/A36番がほしいのにさん)

・希望とは違う商品が届いた
・注文伝票には、実際に届いた商品の型番がある
・注文伝票に承認のサインがある
質問
売買契約は成立していない。正しい食器棚に交換してもらって

法律的に見ると、買い物は契約の一種の売買です。店が「この商品を売りたい」と店頭に置いておき、「買いたい」という申し込みの誘因をし、お客さんが申し込みすることによって「売りましょう」と売買契約が成立します。この際、「売りたい」「買いたい」と相手に伝えることを「意思表示」といいます。意思表示は、話す、書く、態度で示すなどの方法で行われます。店頭に置いてある食器棚を見て「これを買う」と決めた(特定物についての売買契約が成立した)場合は、この食器棚を配送してもらうことになるわけです。これと違うものが配送されてきた場合は、当然食器棚の取り替えを要求できます。
A36番がほしいのにさんは、店で実物を見て、「この商品をください」と意思表示しています。そして店員さんが伝票に記入した型番が間違っているのに気づかず、承認のサインをしてしまったわけです。サインも意思表示の一種ですが、A36番がほしいのにさんがサインをしたのは、型番が間違って書かれたとは思わなかったから。つまり、当然伝票には自分がほしい商品の型番が書かれていると思ったのです。ですから、この意思表示は無効となり、この伝票による売買契約は成り立ちません。店側は、伝票にサインがあることをしつこく言ってくるかもしれませんが、この点に関してもA36番がほしいのにさんに重大な過失はありません。店で商品を買う際に、お客さんが型番までチェックする義務はないからです。店側が交換を拒否するなら、「ほしかったのはこれじゃないもん!」と堂々と返品し、代金を全額返すように要求しましょう。

質問
弁護士・後藤法律事務所所長
後藤 邦春

裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。