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法的トラブル相談室-第42回-

法的トラブル
お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!

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質問
コンビニの前にたむろする若者、
怖いからなんとかしてほしい!
イラスト

  夜、急に部屋の電球が切れてしまい、コンビニへ買いに行きました。店の前の駐輪スペースにはガラの悪い若者が5、6人座り込んでいて、ちょっとイヤな感じ。無視して店に入ろうとしたら、ニヤニヤしながら「あのお姉ちゃん、かわいい」「脚がキレイだよね」なんて、わざと聞こえるように話してるんです。ちょっと怖かったので、思わず店員に「なんであの人たちを追い払わないんですか?」と猛抗議してしまいました。そしたらなんとその店員は、「何もされてないのに、怖がることないですよ」なんて笑うんです! もう頭に来た! たしかに暴力をふるわれたわけじゃないけど、店の前にたむろする若者も、それを放置するお店も、絶対におかしい! ぎゃふんと言わせる方法はある?

(23歳/激怒娘)

・コンビニの前に若者がたむろしていた
・店に入ろうとすると、感じの悪いことを言われた
・コンビニの店員は注意もせずに放置していた
質問
「感じが悪い」というだけでは追い払う理由としてインパクト不足

  とくに女性の場合、あまりガラのよくない若者がたむろしているのを見て「イヤだな」「怖いな」と思うこともあるはず。激怒娘さんの気持ち、よくわかります。でも、若者たちもコンビニで買い物をすることがあるはず。つまり店にとっては、彼らも激怒娘さんも同じお客なのです。「外見や態度が不快」というだけの理由で、店の前から追い払って!と要求するのは難しいでしょう。店側に何らかの対応を求めるためには、たむろしている若者たちが来店者や店に迷惑をかけたという事実が必要。残念ながら、感じの悪いことを言われたというだけでは、直接的なものではないので、追い払う理由としては不十分でしょう。
   ただし彼らが、店の入り口をふさぐなど、激怒娘さんが店に入ろうとするのを物理的にじゃましたようなときは、法的な問題に。「他人の進路に立ちふさがる」という行為は軽犯罪法(第1条28号)違反に当たる場合があるからです。激怒娘さんが警察に訴えたとしたら、加害者である若者には30日未満の身柄の拘束(拘留)または、1000円以上1万円未満の科料(軽い犯罪に対する財産刑)が負わされる可能性もあります。また、店のお客が店に入れなくなったら、店の営業妨害にもなるでしょう。
   いっぽう、激怒娘さんより前に来店した人にも彼らが同じようなことをしていたのなら、店側にも問題アリ。その時点でほかのお客にも迷惑をかけることが予見(ものごとが起こる前に予想すること)できたわけですから、若者たちに注意するのは店側の責任。もし注意せずに放置したせいで深刻なトラブルが起こった場合、店側の対応が不法行為(民法第709条)とされることもあるでしょう。

質問
弁護士・後藤法律事務所所長
後藤 邦春

裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。