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法的トラブル相談室-第53回-

法的トラブル
お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!

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質問
オーダーミスで、子どもがお酒を飲んじゃった!
悪いのはお店?それとも親?
イラスト

  飲み会に、友人のA美が2歳の子どもを連れてきました。A美はカルピスサワー、子どもはカルピス、ほかのメンバーはビールをオーダー。とりあえず乾杯して盛り上がっていたんですが、ふと気づくとA美の子どもの様子がヘン! なんと、子どものカルピスにもお酒が入っていたんです。お店の人は、テーブルに出すときに「カルピスはお子様用ですよね?」なんて言ってたのに……。A美はカンカンで、「店を訴えてやる!」と言いだす始末。久しぶりの飲み会が台無しでした。確かにお店が注文を間違えたのは悪いけど、子どもに飲ませる前にA美が味見をしてれば、こんなことにならなかったのに。A美にだって責任があるんじゃないの?

(23歳/サワ子さん)

・友人が、飲み会に子どもを連れてきた
・店のミスで、子どもがお酒を飲んで酔ってしまった
・一緒にいた親は、子どもの飲みものの味見をしなかった
質問
オーダーミスはお店側の責任です

  飲食店での飲食は、売買契約の一種です。お客はメニューの中から好きなものを選んで注文し、その料金を支払います。当然、料金を受け取るお店側には、注文通りの料理や飲み物を提供する義務があります。 サワ子さんのケースでは、カルピスとカルピスサワーを各1つ頼んだのに、カルピスサワーが2つ出てきてしまいました。こうしたミスは、基本的にお店の責任。注文と違うものが出された場合、契約不完全履行となり、カルピスを出し直すことが原則として必要となります。
ところが、A美さんの子はカルピスサワーを出されてそれを飲んだために、気持ち悪くなっているでしょうから、もはやカルピスを出し直してもらっても意味がないでしょう。このような場合、信義則上、履行不能の状態になったと解して、契約を解除できるといえます。契約を解除するとその品を注文しなかったことになるので、当然、料金を払う必要もありません。また、瑕疵に気づかずに損害を受けた場合は、損害賠償を請求することも可能です(民法第545条3項)。
つまり、A美さんの子が病院で治療を受けたりしたのなら、その治療費をお店に請求することもできるわけです。

質問
弁護士・後藤法律事務所所長
後藤 邦春

裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。