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法的トラブル相談室-第71回-

法的トラブル
お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!

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質問
鳥にエサをやるおばあちゃんのせいで、うちのベランダはフンまみれ。
エサやり、やめてくれないかな~?
イラスト

  私が住むマンションの隣に住んでいるおばあちゃんが庭にエサをまくせいで、うちの近所は鳥の楽園。スズメやらハトやら、いろいろな鳥が集まってきます。鳴き声がにぎやかなのはまあガマンするとして、迷惑なのは、鳥のフン。おばあちゃんの庭に面している私の部屋のベランダもフンで汚されてしまい、気持ち悪くて洗濯物も干せません。先月、マンションの管理組合から苦情を言ってもらったのですが、おばあちゃんは「自分の庭にエサをまくのは勝手でしょ」って……。鳥へのエサやりを取り締まってくれる法律って、ないの?

(ピー子さん/23歳)

・マンションの隣に住むおばあさんが、自宅の庭に鳥のエサをまく
・鳥のフンでベランダが汚され、洗濯物も干せない
・マンションの管理組合からおばあさんに苦情を言ったが、エサやりをやめない
質問
損害賠償、または
差止命令を請求しましょう

  おばあさんの言うとおり、自宅の庭に鳥のエサをまくのは居住者の自由です。でも、その結果、周囲に迷惑をかけている場合は話が別。フン害のせいで洗濯物も干せないという状態は、どう考えても受忍限度(ガマンの限界)を超えています。さらに、管理組合を通じてマンションの住人からのクレームを伝えているのですから、おばあさん本人も人に迷惑をかけていることを知っているはず。頼んでもやめない相手には、法律で対抗するしかありません。
おばあさんを懲らしめる手段は、主に2つあります。1つ目が、不法行為を理由に損害賠償を請求すること(民法第709条)。ピー子さんたちはフン害によって「平穏な生活を送る利益」を侵害されているわけですから、フン害の原因をつくっているおばあさんの責任は明らかです。2つ目が、おばあさんのエサやりについて裁判所に「差止請求」をすること。エサやりとフン害の因果関係がはっきりし、その被害の程度が著しく受忍限度を超えると認められれば、裁判所から「差止命令」が出されます。この命令に背いてエサやりを続けた場合、おばあさんのしていることは不法行為と見なされ、迷惑をかけた人たちに損害賠償をしなければならなくなります。ちなみに、これまで迷惑をかけられたことに対する損害賠償の請求と差止請求を、同時に行うこともできます。また、地域によっては、鳥へのエサやりなどが条例(都道府県や市区町村が定める決まり)で規制されている可能性も。条例に違反している場合、役所などからの指導や罰金などの対象になります。

質問
弁護士・後藤法律事務所所長
後藤 邦春

裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。