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法的トラブル相談室-第78回-

法的トラブル
お金に仕事に恋愛問題、そんな日常のトラブルを解決する法律のなるほど。後藤弁護士がズバリ解決!

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質問
夫は、離婚が認められていないフィリピン国籍。
日本に住んでても、離婚しちゃダメ?
イラスト

  2年前に結婚した夫は、フィリピン人。日本で結婚し、その後もずっと日本に住んでいます。でも、わがままな上、働かずに生活費まで私に頼る彼には、もうウンザリ! どんなに話し合っても解決しないので、離婚を考えています。でも、彼にそのことを伝えたら、「フィリピンでは離婚は認められない。だから、君とは絶対に離婚しない」って……。私、このまま一生、離婚できないの?

(全治10日さん/25歳)

・2年前に結婚した夫は、フィリピン国籍
・ 日本で結婚し、その後もずっと日本に住んでいる
・ わがままで働かない夫と離婚したい
・ 夫は、フィリピンでは離婚が認められていないことを理由に、離婚を拒否している
質問
日本に常居している日本人には
日本の法律が適用されます

  外国人の夫との離婚を考える場合、一番のポイントは、二人の離婚にどの国の法律が適用されるのか?ということです。
結論から言えば、大黒柱さんの場合は、日本の法律に基づいて離婚することができます。日本では、「夫婦の一方がいつも日本に住んでいる日本人の場合、離婚は日本法による(法の適用に関する通則法第27条)」と決められているからです。つまり、話し合いがまとまれば、離婚届を提出するだけでOKの「協議離婚」が可能。それが無理なら家庭裁判所で話し合う「調停離婚」、調停がまとまらなければ、家庭裁判所の判断で離婚を成立させる「審判離婚」、夫の側にそれでも異議があるなら、裁判を起こして闘う「裁判離婚」、ということになります。もし調停や裁判になったとしても、大黒柱さんに有利な形で決着がつくはず。夫が結婚後も働かず、生活費を稼ごうとしないのは、法律上の離婚原因の一つである「悪意の遺棄」にバッチリ当てはまるからです(民法第770条)。
仮に大黒柱さん夫妻がフィリピンで結婚した場合も、心配はご無用。結婚後、ずっと日本に住んでいたのなら、日本の法律にのっとって離婚することができます(法の適用に関する通則法第25条)。意外にこの法律は知られていませんので、この機会に覚えておきましょう。
ただし、歩行者の場所である歩道でスケボーを乗り回すのは、明らかに危険な行為。全治10日さんは、スケボー少年の不法行為を理由に、治療費などの損害賠償を請求することができます(民法第709・710条)。スケボー少年がわざとぶつかったような場合は、傷害罪(刑法204条)に当たる可能性もあります。

質問
弁護士・後藤法律事務所所長
後藤 邦春

裁判官を15年間務め、1989年より民事専門の弁護士に転身。帝京大学にて法学・労働法の講師を担当するなど、若い女性の「法的トラブル」相談者として活躍中。ペットは猫派。