まりか（以下ま）：監督は、まりか以外の作品だと結構ハードなものを作っているじゃないですか（※前編参照）。そういう作品だと結構個人的な趣味趣向が入っているのかな、って思うんです。でも監督である限り、この女のコならどうしたら良いのか、って考えなきゃいけない。そうなった時、自分の好きじゃないジャンルに関しても、楽しんで作ることはできるの？

新保（以下新）：確かに個人的な趣味趣向って意味で、凌辱ものは大好きなんだけど（笑）。

ま：出た！　凌辱の鬼!!（笑）

新：作品を作る上でそれは趣味ではないんだよね。お客様がどんなものを求めているか、って考えた時に、何を隠そう僕もセルビデオ屋さんに行って、自分の趣向に合うＡＶを買い漁っていた人間でして（笑）。

ま：まあ、監督だって男のコですからね。

新：ていうことは、自分と同じ性癖の人が結構いるんじゃないか、と。だから時には自分の性癖に素直に作品を作る事もある。この場合自分の性癖は、監督である自分の武器でもあるからね。同じ趣味の人がこれを買って満足してくれれば本望だよね。

ま：いろいろな友だちに「ＡＶ業界で働く人」について聞いてみたら、「ホント怖くてヤバい人」っていうイメージしか無いみたいで、いったい普段はどんな事しているの？って質問されました。普通の人間として生きてるの…？（笑）

新：普通の人間かと言われれば、普通の人間として生きているよ（笑）。別に何も怖いとかないし。さっき言ったことと近いけど、多分ＡＶ会社で働く人だって普通の人間なわけですよ。ＴＶとか映画の巨匠と言われてる人たちの方がよっぽど変わった生活だよ！きっと。俺なんかめっちゃサラリーマンすよ！　会社から言われた事に真面目に取り組んでいますから…。

まりか（以下ま）：またまりかの友だちの話なんだけど、ＡＶをやってみたい、と思っているコがいるの。てぃんくるnetを見てくださっている方にもそういうコが多いと思うんですが、監督からアドバイスをお聞かせください。

新保（以下新）：まずは、なぜＡＶをやりたいのかの目的をはっきりさせた方が良い、というのがあるね。ＡＶには、企画女優といわれる大人数ものだったり、ただ裸でいるだけのエキストラだったり、はたまたＴＶでの活躍もできる単体女優だったり、お仕事の内容も全然違ってくる。だけど、簡単なバイトではないし、楽して稼げるお仕事ってわけでもない。自分の一生を左右しかねないお仕事でもある。ただ「お金」の為にってのはあまりにも漠然としているでしょ。あくまでお金ってのは手段であって目的ではない。何故お金が欲しいのか、例えば、将来の為に留学する資金だったり、ＡＶをステップにして有名になりたい、とか、いろいろあった上で自分の出来る事・出来ない事をはっきりして臨まないといけないと思う。ただお金を稼ぐ事ならば、ＡＶ以外にもお仕事はたくさんある。ただ単に遊ぶお金が欲しい、ってだけでは大変だし、ＡＶだって「男の人の性的欲求を満たす」ものだから、プロ意識が少ないとやっぱり映像にもそれが伝わってきてしまうものだからね。

ま：じゃあ迷っている人とかに「お金だけが目的ならやめた方がいい」って言った方がいいのかな？　あと「売れなかったらどうしよう」とか、そういう悩みも絶対あるよね。

新：ＡＶ業界のいいところって、基本的に頑張ってお仕事する女のコには沢山お仕事がくるところなんだよね。真面目に仕事してれば、いくらでも仕事は来る業界だからね。という事は、まだまだ業界としても真面目な人が少ないのも事実なんだよね。

ま：この業界の真面目な人ってどんな人？

新：物凄く当たり前のことだけど、普通の社会人としての常識を持っていること。さっきも言ったけど「プロ意識の無い人は続かない」ってことだね。昔はＡＶ業界自体が成長期というか、どんどん大きくなっていく時期だった。だからどんな女のコであろうが、どんな監督であろうが「こんな感じで撮っておけばいいんでしょ？」みたいな作品でも買ってくれるお客さんがいて、問屋もあった。だけど今はＡＶ業界も成熟して真面目に一生懸命やっている人たちが多くなってきた。そんな中に、「どうせＡＶなんて不真面な人間の集まりでしょ」って入ってくる人は、やっぱり長く続かないんだよ。

ま：まりかも、ＡＶデビューする前、オーディションを受けてる時なんかは、本当に不安だらけで「いつか捨てられるんじゃないか」とか、「みんなどうせ怖い人たちなんだ！」って思ってたもん。だけど、スタッフのみんなが物凄い真面目で、一生懸命にまりかの為に頑張ってくれる。だからこの業界で頑張ってみよう！って思ったんだよ！

新：真面目ってのは凄いシンプルなことだからね。「現場の内容を理解する」「監督の求めるものを演じきってくれる」ってことだから。例えば事前に台本をちゃんと読んでくる、とか普通の人が普通にやっている事を普通にやれば成功できる業界。もちろんＡＶ業界がそうなってきているってことは、一般業界はもっとシビアになってきているよね。普通の事やって普通に頑張っても、全く評価されない世の中になってきている。ＡＶ業界は、普通の事をやって頑張れば、成功する可能性が高い。僕がＡＶ業界を勧めるならば、そういうところかな。真面目に取り組めば後悔する事のない業界じゃないかなあって思うよ。

まりか（以下ま）：ちなみにまりかと初めて会った時って、どんな印象だった？　あ、てぃんくら～のみんなは良くわからないかもしれないから説明します！　ＡＶに出演する前に、「監督面接」というのがあって、そこで女のコの出来ること、出来ないこととかを事前に聞いて、作品内容を決めていったりするのです！

新保（以下新）：まりかちゃんからは、この業界に対する不信感や不安を物凄く感じたな～（笑）。

ま：うう！　やっぱりバレちゃうんですね（笑）。あの時は、ＡＶ監督なんて私の敵！くらいの感じだったもん。

新：まりかちゃんに限らず、ＡＶ業界にやってくる女のコは最初はみんなそうだから。どうしても僕らが真面目にやってると言ったところで、「どうせＡＶでしょ」ってなるよ。ＴＶでＡＶをゴールデンに流せるかっていったら流せない訳で、世間から見たらまだまだウラ社会でしょう。怖くて当然。

ま：でも実際はみんな怖いどころか、面白いひとばかりだよね…見た目だって、まあ監督も徹夜続くときちゃない格好している時もあるけど（笑）。スーツ着ている人も多いもんね。

新：チンピラみたいな人がぺろっと作っているのがＡＶってのがよく言われるイメージだけどね。昔はそうだったのかもしれないけど、今は大分変ってきた。

ま：不安なこととかは、監督面接を何度かやっていくうちに無くなっていったな。

新：僕は君をちゃんと騙せていたってことだな（笑）。本当は怖いところなんだよ～。

ま：えええ?!　嘘だったの!? 「まりかちゃ～ん♪」ってあの優しさは偽物?!　やっぱり凌辱監督は怖いよ～!!

新：いやいや冗談ですよ（笑）。作品を作る上で不信感があったら良いものは作れないから。女優さんもスタッフも監督も、一丸となっていい作品を作る為には信頼関係が必要だからね。

ま：よかった、びっくりしたよ（笑）。デビュー作撮ってみて、どうでした？

新：いやもう、これはいい作品が撮れたなあ！　って思っています。撮影の前にまりかちゃんの今までの写真集やイメージＤＶＤを観て、どう撮れば一番可愛く映るのかを研究したし。撮影中も、この角度可愛くないと思ったら慌てて撮り直したからね。

ま：二作目、三作目と監督に撮っていただくのですが、まりかは変化してきてると思いますか？　しばらくずっと監督と過ごしているし（笑）。

新：最初は目も合わせてくれないところから始まり（笑）。今はＡＶへの不信感も取れてこの業界で頑張ろう！という意思はひしひしと感じるね。そういう意味ではすごく成長したと思う。イチ社会人として、イチ業界人として真面目に頑張ろうとしているのは凄く伝わってくる。大事なことだよ。どんどん綺麗になっていったしね。

ま：有難うございます！（笑）

新：作品としてはまりかちゃんが変わった変わってないかというよりは、いかにＶＴＲの中で変わったように見せるかが監督としての僕の仕事です!!

ま：俺のテクだぞと（笑）。

新：そう（笑）。

まりか（以下ま）：ＡＶにもジャンルが色々あって、中にはハードなものってあると思うんですが…これって女優さんもそういうのが好きでやっているのでしょうか？

新保（以下新）：お仕事だからやっている、ってのが大きいでしょう。もちろん好きだってコもたまにはいるけど。そういうハードな現場の時は、とにかく女のコがつらい時間を少しでも短くできるように、段取りをしっかり組んでいますね。

ま：これも監督面接して決めているんですか？

新：もちろんそうですよ。面接で、出来ること出来ないことを一つずつ確認してやってます。ＡＶの撮影において、事前に言ってない事はやらないよ。そこは本当に。信頼関係がないと良い作品が作れない、って事に通じている。あとこれはてぃんくら～の皆様にはちょっとキツイかもしれない裏話だけど…（笑）。

ま：な、なんですか？　一応聞いてみます…。

新：ハードな撮影だと、いわゆるぶっかけモノとか縛りモノとかがあって…でもやる側の僕らが事前に安全確認をしなきゃ話にならないでしょう。だから…。

ま：だから…？（汗）

新：その、自分の精子を顔にかけて目に入ったら危険じゃないか、とか…自分を縛りあげてもらったりとか…（笑）。とにかく全部自分で試してみたね。

ま：わーーーー!!!!　体張るなあ…でもそこまでやってくれると女のコも安心だね。

新：僕らはＡＶを作る以上、お客様の見たいものを提供する、ってのが使命なわけで。その中には女のコをいじめる作品もある。だけどここは僕ら監督の腕の見せどころで、いかに大したことをやっていなくても、見たお客さんが「うわ、これ酷い！」って思わせるかが演出の力だから。そう見えるように作っている。だから、そういう現場でも終ったあとは皆ケロっとしてお菓子とかつまんでる（笑）。

ま：監督をやっていて、ああこれ失敗した！っていうエピソードとかってありますか？

新：ＡＤだった頃は、プールのロケで水着を忘れるとか、とんでもなく面白い失敗談はあるんだけれど…監督になってからの失敗談は、後でやってくることが殆どだなあ。

ま：後でって、ＤＶＤが出た後ってこと？

新：いや、撮影中は現場で物凄い盛り上がって、コレは最高だ!!って撮っていたものが、編集機の前で一人で見るとたいして良くなかったって事が…。

ま：ああ!!　まりかもなんとなくわかる…！　夜中書いたラブレター方式ってやつですよね（笑）。翌朝読み返すと、とんでもないことが書いてあって後悔するっていう…！

新：そうそう（笑）。そういうのはしょっちゅう。まあでもそういう反省の積み重ねで、もっと良い作品を作っていける糧になるからね。

まりか（以下ま）：そんな監督の、今後の目標を教えてください！

新保（以下新）：今後やりたいこと…ＡＶに限らずならば、僕は歴史が大好きなので日本歴史上の人物をカッコ良くみせて、日本にもヒーローが沢山いるんだって事を若い人に知ってもらえるような作品を作ってみたい。見た人が、日本人として誇りが持てるような。歴史上の人物は生き方にしろ、知れば知るほどかっこいい！

ま：ＡＶなら？

新：ひっどいのやりたい（笑）。

ま：ぎゃー!!　また現れたっ！　凌辱の鬼！　なんでそんなにひどいのに目覚めちゃったんですか…？

新：誤解しないで欲しいのは、女のコでもたまにいるじゃない、ちょっと無理やりヤラれたい願望というか…。でもだからって実際レイプはされたくないでしょ？　当たり前の話で。それと同じで、ＡＶで女のコをめちゃくちゃにされてるのが見たいからって、自分の彼女をめちゃくちゃにするかったら違うでしょ。見たい事とやりたい事が一致するのは違うよ。そうなったら犯罪者だから。 ＡＶは男にとって夢を叶えるファンタジーだから！　だからもしＡＶが無くなったら犯罪は増えると思う。

ま：それでは最後に、ここを読んでくださった読者の皆様へ、メッセージをお願いします！

新：ＡＶも風俗も、周りの人に言えなかったり後ろめたいと思うこともあると思います。だけど、誰かに必要とされているのだからそのお仕事がある。喜んでくれる人がいるっていう事に、喜びを見出せるお仕事だと思います。いらないお仕事だったら無いわけだから。くれぐれも体には気をつけて頑張ってほしいです。…個人的には…。

ま：個人的には？

新：毎月25日給料日にはお店なりに行けるよう努力していますので、もしもお世話になる際はよろしくお願いいたします（笑）。

ま：せっかくカッコいい締めだったのに（笑）。まあ、でもそこが監督らしいっす！