第43回 みゆさん(24)
生年月日:1983年2月1日
年齢:24歳
星座:水瓶座
血液型:B型
趣味:スキューバダイビング
お仕事歴:約2年
出勤:4日/週
月収:70万/月
所属店舗:SMクラブ無我
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アメリカ旅行の旅費を稼ぐために始めました
●お仕事を始めたきっかけは?
「どうしてもお金が欲しかったんです。アメリカにいる友達に会いに行きたくて家庭教師や遊園地でバイトしてたんですけどそれだけじゃ足りなかったので。初めはデリヘルで働いたんですけどお恥ずかしい話、テレクラで知り合ったおじさんに紹介してもらったんです。僕がいいお店を教えてあげるから危ない遊びはやめなさいって。それで旅費を貯めてアメリカに行って」
●えらいっ! 目的がちゃんとあったんだね。
「いや、自暴自棄ですね。彼氏にフラれて『誰とヤっても同じだろう』って。風俗なんて世の中の底辺にいる人間がやるもんだ、自分もそんな人間になっちゃえばいいんだ! 人生も世の中もどーでもよくなっちゃって。彼氏への当てつけじゃないけど本当に真面目だったんですよ。半年しかつき合ってなかったけど、私にとっては初めての彼氏だったし初体験の相手だったし。もうこの人しかいない!って」
●いくつの時に付き合ったの?
「19歳です」
●みゆさんの年代にしてはゆっくりじゃない?
「進学校に通っていたので大学に入るまでは受験勉強でそれどころじゃなかったんです。20歳までには……みたいな焦りはありましたけど(笑)」
●どうして別れることになってしまったのかしら?
「性格が合わないって言われてしまって。私はそんなこと全然思ってなかったんだけど……。寂しがりやでかなり依存してたと思います」
●みゆさんの気持ちが重くなっちゃったのかな。
「そうだと思います。彼も初めてのお付き合いで私が初体験の相手で、お互い初めてなことが多くて本当に楽しかったので、今思うと申し訳なかったなって」
●フラれた反動が風俗に向いたわけなのね。
「簡単にリストカットとかしちゃう子もいるけどそれはいけない、それ以外で自分を傷つける方法ってなんだろう? 知らない男と寝るのがいい、それを聞いたら彼もショックを受けるだろうって。彼にカミングアウトしたこともあるんですよ! ひどい女っぷりを(笑)。そしたら『ああ、そう』だって」
●きっと彼に気にかけて欲しかったんだね。
「テレクラも風俗も結局は彼に自分を見て欲しかったんだと思います。だから自分を悪い方へ追い込んで。でもそれで寂しさがまぎれた部分はありました」
イメチェンをキッカケに再び、風俗へ……
●お金を貯めてアメリカに行って一度は辞めたのよね? 風俗に戻ってきたのはどうして?
「ギャル系にイメチェンをしたら声のかかりがめちゃめちゃいいんですよ。『私は声をかけたくなるようなかわいい女の子に見られてるんだ!』って思えることが嬉しくて」
●イメチェンしたくなるような事件がまた起こった!?
「いえいえ(笑)。周りの子がオシャレなブランド品のバッグや靴を当たり前に持ってたんですね。でも私は群馬から出てきて実家からの仕送りもなくて。密かに負けられないって思ってました。あの子達と肩を並べるためには、デパートで売っている洋服を着てブランド品のバッグを持たなくちゃって」
●普通のバイト代じゃ足りないよね。
「洋服ってお金かかるじゃないですか。それでもう一度やってもいいかなぁって」
●では話を戻しまして。風俗のお仕事をしてみてどんな印象でした?
「とにかくイヤでしたね。知らない人とエッチなことをするのもイヤだったし、おもちゃも使ったことないから怖かったです。でもお金のことがあったからガマンしてました」
●イヤだったけど戻ってきたのね。
「一回目よりはイヤな感じは抜けてました。それでも隣の部屋から聞こえてくる声や狭い部屋に一人ぽっちでの待機は頭おかしくなっちゃいそうでした。それからは性感エステやソープ、キャバクラと繋いで、現在行き着くところに行き着いたって感じです」
●他の仕事はしてたの?
「会社員しながらキャバやってた時期もありました。今は風俗一本です。返さなきゃいけないお金も増えちゃって」
●やっぱりお洋服で?
「ねずみ講に引っかかったり、エステで高い下着を買っちゃったり。リアルな話(借金は)800万までいきました」
●は、800万!?
「風俗で働いてるんだから今日使っちゃっても明日また入ってくるし……って思ってたところはありましたね。でも実際は稼ぎが目標額までいかない日もあって計算が狂って」
●そうなる前にストップかけられないものなのかな?
「一人暮らしってどうしても寂しいから、つい使っちゃってたんですよね。今は妹と一緒に住んでいるので夜な夜な出歩くこともないし。ようやく半分返したところです」
●お金を使うってどんな気持ちだった?
「セレブな気持ちに浸りたいというか。実際はそんなお金ないのにホストで高いお酒を飲んで、私は金持ちなんだって思えることが嬉しくて。借金してまでもそういう気分になりたかったんです。お金がお金に見えないんですよ? 木の葉みたいにひらひら風に舞ってなくなっちゃう感じ」
●その感覚は認識してた?
「わかってないですね。病院の先生にも『(お金を使う)現実感がないんだね』って。銀行に行けばいつでもお金があって取り出せるものだと思ってました」
●その金銭感覚をよく戻せたね~。
「さすがに800万っていう数字を見せられるともうダメだって。ある人が『若い頃はいっぱい使ったけど今は返す時期。それが終わったら今度は自分のために貯める時期なの』って言っていたのがすごく励みになってます。私も今は返す時期。返し終わるのがすごく楽しみですね」
●お金が使えなくなってつまんないとは思わない?
「あの頃の刹那的な使い方はもうバカバカしくて。人並みにお買い物したりご飯食べたりっていう今の生活が好きです」
●普通の仕事に戻る気はもうないの?
「世間的にエリートって思われてる会社に勤めてたこともあったんです。けど風俗って自由じゃないですか。そういうのに慣れちゃったのもあるので、会社組織はもう無理かも。今の仕事辞めるつもりもないですね」
●この仕事がいいなって思えるところは?
「収入面でもそうですし、SMクラブでようやくやりがいを感じられたのはあります。本指名のお客さんが帰ってきてくれるのは嬉しいですよね。自分の仕事がよかったからなんだって感じられるし。私も真性Mっていうわけじゃないんです。けどお客さんは征服欲を満たしたくてここへくるから、それを私たちはどう満足させてあげられるかなって考えることが面白いです。ヘルスの時は『若い子のおっぱい触れるんだから嬉しいでしょ』って上から見てて、お客さんと喧嘩したこともありました(苦笑)。今はもっと細やかなサービスが出来るようになったし、なによりそれを考えられるようになったのは自分の成長かなって」
●風俗、特にSMをこれから始めようと思ってるてぃんくら~にアドバイスするとしたら?
「相手がどういうものを求めているのかを感じ取れるアンテナは必要かな。SMのお客さんって一つのものに特化していく方が多いと思うんです。それを早く感じ取ってレールを敷いてあげられる気配りっていうのかなぁ。営業でも相手のニーズを知ってそこに売り込んでいくでしょう? よく相手を観察することも大事だと思います」
恋愛にちょっと臆病になっています
●ところで、今彼氏はいるのかな?
「2年半ほどいないです。わかってくれる人もいたけどやっぱりこの仕事を理解してもらうのって難しいし、逆に申し訳ないかなと。今はとにかくお金を返さなくちゃいけないし……なんて本当は臆病になってるんだと思います。それを仕事のせいにしてるかも」
●風俗辞めて恋愛するっていう選択肢もあるよ?
「夢があって、30歳までに1000万貯めたいんです」
●ほぉ~。それは大きな夢だね!
「普通に会社員でコツコツ貯めてたらイケたかもしれないとは思うんです。前の会社の給料がとても良かったので、同期は今頃かなり持ってるんじゃないかと思うんですね。追いつきたいんじゃなくて追い越したいんです。友達も一流企業に勤めてる子が多いんですよ」」
●友達も追い越したい?
「ですね。自分で言うのもなんですけどエリートコースだったんです。学歴とか職歴だけ並べれば。でもそれは生まれが裕福じゃなかったっていう背景と、お金を稼いでのし上がってやるぞ! っていうハングリー精神なんですよね。エリートって言われてるような人たちって風俗をバカにして、底辺の人間の集まりって見てる人が多いと思うんです。自分も実際にそうだったし。けどそんなことないし、私はもうエリートには戻らないけど、こっち(風俗)であなた達より勝ってやる! っていう気持ちでいます」
●何で『勝つ』んだと思う?
「イヤな言い方しちゃえば収入なのかなぁ? 持っているものすべてにおいて勝りたい」
●ステイタスとか?
「そういうのに囚われてるうちはマダマダだね、って言われるんですけどね(苦笑)。街で偶然昔の同僚に会って、私は綺麗なバッグ持ってエステも通ってツヤツヤで『綺麗になって羨ましい。私なんかしがないサラリーマンよ』なんて言われたら嬉しいですね。勝った! って思えるかな? 短絡的だと思うけどそういう気持ちがあるから今の仕事も続けていられるのかなって」
●人生の勝ち組だね。
「悔しいけど今は負け組に見られますよね。でもそうじゃないんだよって。セレブなマダムが旦那さんに浮気されたらわけわかんなくなっちゃいそうだけど、そういうお客さんもいたよな、男って浮気するもんだよなって寛大に思える? 浮気したかったら3万円あげるから風俗行っておいでって言える奥さんの方が強いんじゃないかって思いますね。それは風俗でつちかったものですから」
●最後に。3年後はどんな自分になっていたいですか?
「人のつらさとか苦しさをわかってあげられる女性になりたいです」